日々のビジネス活動において、問い合わせ対応が属人化していたり、顧客とのやり取りがメールや電話で分散していたりと、情報共有や業務の見える化に課題を抱える企業は少なくないでしょう。特に中小企業では、日々の問い合わせ対応に追われて、抜け漏れや対応ミスが発生してしまったり、サポート担当者の業務負荷が大きく、モチベーションが低下したりと、さまざまな問題を抱えがちです。
しかし、こうした課題を解決する手段として注目されているのが、クラウド型のヘルプデスクツール「Zoho Desk」です。Zoho Deskは、低コストで導入できる上、顧客満足度の向上と業務効率化を同時に実現できる機能を備えた製品です。
この記事では、Zoho Deskの基本機能や特徴、料金プランまでを詳しく解説し、自社に合ったサポート体制を構築するためのヒントをお届けします。
Zoho Deskとは?ヘルプデスク業務を効率化するツール
ここでは、Zoho Desk の基本概要と特徴について解説します。
Zoho Deskの概要
引用元:Zoho Desk
Zoho Deskは、Zoho が提供するクラウド型のカスタマーサポートツールです。メールや電話、Webフォーム、SNSからの問い合わせを一元管理し、チケット化して対応する仕組みを提供します。中小企業から大企業まで幅広く利用されており、低コストで始められる点が特長です。
ヘルプデスクツールとしての特長とメリット
Zoho Deskは単なる問い合わせ管理ツールではありません。自動割り当て、SLA管理、ナレッジベースの構築など、カスタマーサポートの品質を高める多彩な機能が標準で搭載されています。加えて、直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性により、非IT部門などのネットリテラシーがあまりない初心者の人でも扱いやすい点が支持されています。
Zoho Deskの主な機能を徹底解説
ここでは、Zoho Deskの主要な機能について解説します。
問い合わせ管理システム
Zoho Deskでは、問い合わせ管理システムと呼ばれる機能で、メールや電話、そしてWebサイト上に設置されたチャットボットなど、顧客がさまざまなチャネルから問い合わせを行った内容を一元管理することができます。
また、問い合わせごとに担当者や対応期限を設定し、管理することができるため、問い合わせ対応の漏れや重複を防ぐことが可能になります。
オムニチャネル
メール、電話、オンラインチャット、SNS(TwitterやFacebook)、さらには自社Webサイトのフォームなど、さまざまなチャネルから寄せられる問い合わせをZoho Deskが一元化し、一覧で表示します。これまでバラバラに届いていた顧客対応データを一つにまとめ、チーム全体で対応状況を共有可能になります。
また、顧客とのやり取りの履歴もチャネルを問わず時系列で確認でき、スムーズかつ抜け漏れのないサポート体制を構築できます。
ナレッジベース
ナレッジベースとは、業務に関する知見を集めたデータベースのことです。つまり、ある事象において、あらかじめそのノウハウやマニュアルを作成し、システム上に簡単に残しておくことで、顧客がシステムの操作性に疑問を持った際、ナレッジベースを見て解決できるようになります。FAQも同じようなイメージです。
自動化
Zoho Deskには、SLA(サービスレベル合意)に基づく対応期限の設定や、業務ルールに基づいたワークフロー自動化の機能も搭載されています。例えば、「24時間以内に返信がなければ上長に通知」といった設定も可能で、対応の抜け漏れを防ぐことができます。
以上の他にも、Zoho Deskにはさまざまな機能が備えられています。
Zoho Deskの料金プランとコスト感
ここでは、Zoho Deskの料金プランと各プランの特徴について解説します。
無料プランと有料プランの違い
Zoho Deskには、無料の「Free Plan」に加え、3つの有料プラン(Standard, Professional, Enterprise)があります。無料プランではチケット管理とナレッジベース機能の基本的な利用が可能で、小規模なチームには十分対応可能です。
各プランの費用と利用できる主な機能
スタンダードプラン
1,680円/月/年額払い
スタンダードプランはベーシックなプランとなっており、カスタマーサービスチームの強化に必要なすべての基本サポート機能が備わっています。例えば、問い合わせ履歴の管理や解決方法のナレッジベースへの追加、ワークフロー・マクロなどの自動化機能など、通常の問い合わせ業務に必要な機能は網羅されています。ただし、メールチャネルの上限数が5チャネルまでであったり、ワークフローが1タブあたり5つまでしか作成できないなど、制限が設けられていることに注意が必要です。
プロフェッショナルプラン
2,760円/月/年額払い
プロフェッショナルプランでは、プロフェッショナルプランの内容に加えて電話連携、問い合わせ内容の共有、問い合わせテンプレートの利用が可能になります。また、チャットサポートも利用可能となり、メールチャネルなどの上限数も緩和されます。そのため、スタンダードプランよりもより積極的にシステムを利用したい企業におすすめの機能となります。
エンタープライズプラン
3,600円/月/年額払い
エンタープライズプランはZoho Desk の上位プランであり、上記2つのプラン内容に加えて、高度なダッシュボード機能や分析モバイルアプリの利用が可能になります。また、ワークフローなどの自動化も上限数が緩和され、AI「Zia」によるサジェスト機能、マルチブランド対応、詳細なレポート機能など、さまざまな機能を活用することができます。
プロフェッショナルプランよりも高度かつ規模の大きい分析や利用をしたい企業におすすめです。
Zoho Deskの導入手順と初期設定ガイド
初期登録から基本設定までの流れ
- Zoho公式サイトからアカウント作成・ログイン
- サポートチームとメールアドレスの登録
- チケットカテゴリやSLAの設定
- ナレッジベースの作成と公開
独自ドメインメールや通知設定の方法
独自ドメインのメールを利用するには、DNS設定でSPF、DKIMレコードを追加する必要があります。通知設定では、メール・アプリ・Slackなど複数チャネルに対して、条件に応じたアラートを設定できます。
サポートチームへのオンボーディング方法
操作ガイドの共有、模擬対応の実施、マクロやテンプレートの活用例をチーム内で共有することで、早期に定着化が図れます。
Zoho Deskのセキュリティと信頼性について
アクセス制御・ログ監視による内部統制機能
ユーザーごとにロールや権限を細かく設定できるほか、誰がいつ何をしたかを記録する監査ログも取得可能。内部統制にも対応できます。
GDPR・ISO対応で安心のデータ管理
Zohoは、GDPR(欧州一般データ保護規則)をはじめ、ISO 27001などの国際規格に準拠しており、個人情報の安全な取扱いが保証されています。
Zoho Deskの活用を成功させるポイント
社内定着のための教育・マニュアル整備の工夫
初期研修に加え、動画マニュアルや社内FAQを作成することで、担当者の習熟を支援。マクロやテンプレートの共有も有効です。
KPI(チケット処理時間・満足度)で運用改善
「初回対応時間」「解決時間」「顧客満足度スコア(CSAT)」などの指標を定期的にレビューし、業務改善に役立てましょう。
運用初期のよくある課題とその対処法
通知が多すぎて混乱する、対応ルールが曖昧などの課題は、テンプレート・ルール設計の見直しと、運用ルールの明文化で解決できます。
まとめ
Zoho Deskは、優れたコストパフォーマンスと多機能性を兼ね備えたクラウド型のヘルプデスクツールです。問い合わせ管理の標準化、自動化、情報の一元化により、顧客満足度の向上と業務効率化の両立が可能になります。
特に中小企業やスタートアップなど、限られたリソースで成果を最大化したい企業にとって、導入のハードルが低く、すぐに効果が出やすいサービスといえるでしょう。
サポート業務に課題を感じている方は、まずは無料トライアルを活用して、Zoho Deskが自社にマッチするか試してみることをおすすめします。