営業活動が個人任せになっており、チームでの情報共有がうまくいかない。せっかく広告でリードを獲得しても、フォローが遅れて商談につながらない。こうした悩みを抱える企業は少なくありません。特に中小企業やスタートアップでは、顧客管理や営業プロセスが整っておらず、対応の抜け漏れや情報の属人化による機会損失が起きやすい傾向にあります。
こうした課題を解決する手段として、近年あらためて注目されているのがCRMです。CRMとは、顧客関係管理(Customer Relationship Management)の略称で、見込み客や既存顧客の情報を一元的に管理し、営業・マーケティング・カスタマーサポートの業務効率化や顧客満足度の向上を支援するツールです。従来は大企業向けの高価なソリューションという印象もありましたが、現在は低価格かつ高機能なクラウド型CRMも多数登場しており、企業規模を問わず導入が進んでいます。
この記事では、CRMの基本的な定義から、機能、導入によるメリット、活用事例、CRMツールの選び方、さらには広告施策との連携による活用方法までを、2025年時点の情報をもとに詳しく解説していきます。単なるツール紹介ではなく、どのような目的で導入し、どう運用すれば成果につながるのかという実践的な視点を重視しています。
自社の営業力を強化したいと考えている企業担当者、広告運用の成果を最大化したいマーケティング責任者、クライアント支援を行う広告代理店の方にとって、CRMの導入と活用は避けて通れないテーマです。業務効率の改善や売上向上につなげる第一歩として、ぜひ本記事を参考にしてください。
CRMとは?基本からわかりやすく解説

ここでは、CRM(顧客関係管理)の基本的な意味や役割について解説します。まずはCRMがどのような概念であり、どのような機能を持っているのかを明確にし、それと混同されがちなSFA(営業支援)やMA(マーケティング自動化)との違いについても整理しておきます。CRMを正しく理解することは、導入・運用の成功に向けた第一歩です。
CRMの定義と意味
CRMとは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略称で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。企業が顧客とより良い関係を築き、長期的に信頼を得ていくことを目的とした考え方、あるいはそのための仕組みを指します。
具体的には、見込み顧客や既存顧客の氏名・連絡先・購買履歴・問い合わせ内容などを一元管理し、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの複数の部門で活用できるようにするのがCRMの基本機能です。顧客ごとの状況をチーム全体で把握することで、個別対応の質を高め、対応の抜け漏れや重複対応を防ぐことができます。
CRMを導入することで、属人化した営業活動を脱却し、チーム全体で顧客に向き合える体制が整います。また、データに基づいた意思決定や対応が可能になるため、成約率や顧客満足度の向上にもつながります。近年では、クラウド型のCRMツールが主流となっており、インターネット環境さえあれば場所を選ばずに活用できる点も利便性の高いポイントです。
CRMは単なるデータベースではなく、企業が持続的な成長を遂げるために、顧客と長期的な関係を築いていくための重要な戦略ツールといえます。
CRMとSFA・MAとの違い
CRMと混同されやすいツールに、SFA(Sales Force Automation)やMA(Marketing Automation)があります。これらはいずれも営業・マーケティング活動の効率化を目的としたツールですが、それぞれの役割には明確な違いがあります。
まずSFAは、営業活動の自動化・可視化に特化したツールです。訪問履歴や商談内容、案件の進捗状況などを記録し、営業パーソンの行動管理や業績予測を支援する機能が中心です。CRMが顧客との関係全体を管理するのに対し、SFAは営業部門の業務プロセスを対象にしています。
一方でMAは、見込み客に対するマーケティング施策を自動化するためのツールです。メール配信、スコアリング、セグメント分け、行動履歴の追跡などを通じて、商談化の確度が高いリードを営業へ渡す役割を果たします。
CRMはこのSFAやMAと連携することで、リード獲得から育成、商談化、顧客化、さらに既存顧客へのフォローアップまで、一連のプロセスを統合管理するハブとして機能します。特に近年は、CRMとSFA・MAを一体化した統合型プラットフォームも登場しており、よりスムーズなデータ連携と業務効率化が実現できるようになっています。
自社の課題や目的に応じて、CRMを軸にSFAやMAをどう組み合わせるかが、成果を左右する重要なポイントです。
なぜ今、CRMが注目されているのか?

ここでは、近年CRMが多くの企業で導入・活用されている背景について解説します。ビジネス環境の変化や顧客ニーズの多様化により、顧客データの重要性が増す中で、CRMが果たす役割はますます大きくなっています。データ活用による成長戦略、属人化からの脱却、業務の標準化といった観点から、なぜ今CRMが欠かせないのかを紐解きます。
顧客データの活用が成長の鍵に
企業が持続的に成長していくためには、顧客のニーズや行動を正確に把握し、それに応じた対応を行うことが不可欠です。そのためには、顧客に関するあらゆるデータを収集・分析し、マーケティングや営業、カスタマーサポートなどの各部門で活用していく必要があります。CRMはこの顧客データの中心的な管理基盤として機能します。
たとえば、Webサイトの問い合わせフォームから獲得したリード情報を自動でCRMに取り込み、過去の商談履歴や購買履歴と紐付けることで、精度の高いフォローが可能になります。また、キャンペーンメールの開封状況やクリック率などの行動履歴をもとに、ニーズの高い顧客に対して優先的にアプローチすることもできます。
特に広告運用との相性は良く、CRMで蓄積されたデータを使って広告配信のセグメントを精密化したり、LTV(顧客生涯価値)を高めるリテンション施策を設計したりといった活用が可能になります。GA4や広告プラットフォームとの連携により、オンラインとオフラインの顧客接点を統合し、データドリブンな意思決定を支える基盤となります。
このように、CRMは単なる顧客台帳ではなく、企業の競争力を高めるためのデータ活用の中核ツールとして注目されています。
業務の属人化・引き継ぎ課題の解消
多くの企業では、営業やカスタマーサポートの対応が特定の担当者に依存しており、担当変更時に情報が引き継がれず、対応の質が下がってしまうという課題を抱えています。こうした「属人化」は、組織の成長を阻害する大きな要因の一つです。CRMは、このような属人化を防ぎ、組織的な対応体制を実現するための有効な仕組みです。
CRMを導入すれば、誰がいつどのような対応を行ったかを履歴として記録でき、担当者が変わっても顧客情報をスムーズに引き継ぐことが可能になります。たとえば、ある見込み顧客に対してどのような提案を行ったのか、過去にどのようなクレームがあったのかといった情報を、口頭ではなくシステム上で確認できるため、対応漏れや誤解を防ぐことができます。
また、CRMにはタスクやリマインダー機能も備わっており、次回の連絡予定や商談のステップを可視化できます。これにより、営業プロセスが属人的な判断に頼ることなく、チーム全体で共有・実行されるようになります。マネージャーも状況をリアルタイムに把握でき、適切なフィードバックや戦略の調整が行えるようになります。
テレワークや在宅勤務が一般化した現代において、チーム間の連携や情報共有の重要性はさらに高まっています。CRMは、その基盤として、企業の組織力と対応力を支える存在となっています。
CRMの主な機能とできること

ここでは、CRMに搭載されている代表的な機能について紹介します。CRMは単なる顧客名簿ではなく、営業やマーケティング活動を支援する多様な機能を備えています。顧客情報の一元管理をはじめ、タスクやスケジュールの管理、商談の進捗把握、コミュニケーション履歴の記録まで、実務に直結した機能を理解することで、導入後の具体的な活用イメージが描きやすくなります。
顧客情報の一元管理
CRMの基本となるのが、顧客情報を一元的に管理する機能です。氏名や電話番号、メールアドレスなどの基本情報に加え、企業名、部署名、役職、業種、Webからの問い合わせ履歴、商談内容、過去の購入履歴などもあわせて記録することができます。
このような情報をExcelなどの個別管理で行うと、入力ミスやデータの分散、更新漏れが発生しやすくなりますが、CRMを使えば複数の担当者がリアルタイムに同じ情報を確認・更新できるため、業務の効率化と正確性が飛躍的に向上します。
さらに、タグや属性、ステータスなどで顧客を分類することで、ターゲティングやセグメント別施策の設計も容易になります。情報の一元管理は、ナーチャリングやアフターフォローの精度を高め、顧客満足度の向上にもつながります。
タスク・スケジュール管理とリマインド機能
CRMには、営業活動を支援するタスク管理やスケジュール機能が備わっています。商談日や次回の連絡予定、資料送付の期限など、顧客ごとに必要なアクションをタスクとして登録することで、担当者の行動を明確にし、対応の抜け漏れを防ぐことができます。
これらのタスクは日付や優先度によって整理され、ダッシュボードやカレンダー上で視覚的に把握することが可能です。また、指定日時にリマインド通知を設定することもでき、営業担当者が多忙な中でも確実にアクションを実行できるよう支援します。
マネージャーはチームメンバーのタスク状況を一覧で確認できるため、業務の偏りや進捗の遅れに対する早期対応も実現できます。このような機能は、営業組織全体の生産性とスピード感を高めるうえで非常に効果的です。
商談管理と売上予測
CRMでは、顧客単位の情報だけでなく、個別の商談(案件)ごとの進捗状況を管理することも可能です。たとえば、「初回接触」「見積提出」「提案中」「クロージング」「受注」などのステージを設定し、それぞれの商談がどの段階にあるのかを可視化できます。
これにより、営業パイプラインの全体像が明確になり、どの商談に注力すべきかを判断しやすくなります。また、各商談に金額や受注確度を設定すれば、月間・四半期・年間などの売上予測も自動で集計することができます。
このように、商談管理機能は営業活動を戦略的に進めるための重要な情報源となり、マネジメント層の意思決定やチームの行動計画にも活用できます。
メール・チャット・電話との連携
CRMは、顧客とのコミュニケーション手段であるメール、チャット、電話との連携機能も備えています。CRM上で送受信されたメールを自動で記録したり、外部の電話システムと連携して通話履歴を保存したりすることで、やり取りの履歴を一元管理できます。
特にメールテンプレートの活用や一斉配信機能は、リードへの定期的なフォローやキャンペーン施策に役立ちます。また、チャットボットやウェブチャットと連動させることで、Webサイト上の問い合わせ対応から自動的にCRMへデータを反映させるといった運用も可能です。
こうしたコミュニケーション履歴の蓄積は、対応の質の向上だけでなく、トラブル時の原因追跡や、顧客の興味・関心の分析にも役立ちます。営業やカスタマーサポートの質を安定させるうえでも欠かせない機能です。
CRM導入のメリットと導入効果

ここでは、CRMを導入することで得られる具体的な効果について解説します。単に顧客情報を管理するだけでなく、営業やマーケティングの精度向上、対応品質の改善、チーム全体の生産性向上など、多方面にわたる成果が期待できます。実務に直結するCRMの導入効果を、代表的な4つの観点から確認していきましょう。
顧客対応の質とスピードが向上
CRMを導入する最大のメリットの一つは、顧客対応の質とスピードが飛躍的に向上する点です。顧客からの問い合わせに対し、担当者が都度情報を探すのではなく、システム上に蓄積された履歴や属性をすぐに参照できるため、迅速かつ的確な対応が可能になります。
たとえば、以前に対応した内容や過去の商談状況がすぐに確認できれば、顧客は自分のことを理解してもらっているという安心感を得られます。これは顧客満足度の向上に直結します。また、対応時間の短縮にもつながり、複数案件を並行して処理するうえでも大きな効果があります。
特にBtoBビジネスや定期取引のある業種では、こうした履歴の即時把握が業務品質を大きく左右します。CRMは、誰が対応しても一貫性のあるサービスを提供できる体制づくりに貢献します。
見込み客の取りこぼし防止
広告やWeb施策で獲得したリードに対して、適切なフォローが行われずに商談化されないまま終わってしまうケースは少なくありません。CRMは、こうした「取りこぼし」を防ぐための仕組みとしても効果的です。
問い合わせや資料請求などで獲得した見込み客は、CRM上に自動で登録され、フォロータスクの設定や対応状況の可視化が行えます。どの顧客に、いつ、どのようなアクションをとる必要があるかを明確にすることで、対応漏れや重複対応を防ぐことができます。
さらに、ステータスやスコアリングによって優先度を整理し、リードの温度感に応じた対応が可能になります。たとえば、過去にメール開封履歴の多い顧客には早めの商談案内を送るなど、行動データを根拠にした判断が実現できます。
見込み客の対応精度を高めることは、コンバージョン率の改善に直結し、広告費やマーケティング投資の回収率を高める効果も期待できます。
売上向上とマーケティング改善
CRMの活用は、売上向上にも大きく寄与します。顧客情報や商談進捗を体系的に管理することで、クロージング率を高めるアプローチが取りやすくなり、営業パフォーマンスが全体として底上げされます。
また、CRMに蓄積されたデータを分析することで、見込み客の傾向や成約までの平均ステップ数、リピート顧客の特徴などが明らかになります。これらの情報は、今後の広告戦略やコンテンツ設計において非常に有益です。
たとえば、特定の流入チャネルから獲得したリードが他よりも成約率が高いとわかれば、そのチャネルに投資を集中することでマーケティングのROIが改善します。さらに、定期的なリスト分析によって、キャンペーンの効果測定やPDCAの精度も向上します。
このように、CRMは営業部門だけでなく、マーケティング部門にとっても、施策の改善サイクルを支える基盤として活用できます。
チーム全体の営業力の底上げ
CRMは個々の営業担当のスキルや経験に依存せず、チーム全体の営業活動を標準化・可視化することができます。これにより、営業力のばらつきを抑え、誰でも一定以上の成果が出せる体制を構築することが可能になります。
たとえば、各担当者の商談件数やステージ進捗、対応スピードなどのデータを可視化することで、好成績の営業の行動パターンを抽出し、全体に展開することができます。また、新人や中途採用メンバーにとっても、CRM上の情報を活用することで早期立ち上がりが実現できます。
さらに、マネージャーはCRMのデータをもとに定例ミーティングやフィードバックの材料を得ることができ、チーム運営の効率も向上します。個人の努力に依存する営業から、組織的に再現性のある営業体制へと進化させるために、CRMは欠かせない基盤となります。
CRMの活用事例(広告代理店・中小企業など)

ここでは、CRMが実際にどのような現場で活用されているのかを、業種別に紹介します。広告代理店、EC・通販業、不動産やクリニックといったサービス業など、それぞれの業界でCRMがどのように導入され、どのような業務課題を解決しているのかを具体的に見ていきます。自社の業種や規模に近い事例を参考にすることで、CRM活用のヒントが得られるはずです。
広告代理店におけるCRM活用例
広告代理店では、多数のクライアントや案件を同時に抱えるため、情報の整理とタスクの進行管理が重要です。CRMを導入することで、営業活動の全体像を可視化し、提案漏れや重複対応といった業務ミスを減らすことができます。
たとえば、新規問い合わせをCRMに自動登録し、ヒアリング日程・提案資料送付・見積提出・受注・施策レポート作成といった一連の対応ステップをタスクとして設定します。これにより、各クライアントごとの対応状況を把握しやすくなり、担当者が変わっても対応が滞ることがありません。
また、広告出稿履歴やレポート送信履歴をCRM上に記録しておくことで、過去の施策と成果をすぐに振り返ることができ、改善提案や次回提案にもスムーズにつなげることができます。さらに、営業活動の記録を分析することで、商談化率の高い問い合わせ経路や業種を把握し、より効果的な営業戦略を立てることも可能です。
EC・通販業界におけるCRM活用例
ECサイトや通販業では、購入者情報の蓄積とリピーター育成が売上に直結します。CRMを活用することで、購買履歴やアクセス履歴をもとに顧客をセグメントし、それぞれに適したマーケティング施策を実行することができます。
たとえば、初回購入者にはフォローアップメールやレビュー依頼を送信し、2回目購入を促すキャンペーンを設計。一定期間購入のないユーザーには再来訪を促すクーポンを自動配信するなど、行動に応じたコミュニケーションが可能になります。
さらに、RFM分析(Recency・Frequency・Monetary)をCRM内で行うことで、LTVの高い優良顧客層を特定し、限定キャンペーンやVIP対応などの差別化施策を展開できます。これにより、広告費の効率化とリピーターの増加を同時に実現することができます。
顧客ごとの好みや反応傾向がデータとして蓄積されるため、クリエイティブやオファーの最適化にも役立ち、結果的に売上とブランドロイヤルティの向上が期待できます。
不動産・士業・クリニックなどサービス業の事例
サービス業では、顧客との信頼関係が非常に重要です。特に不動産業や士業(弁護士・税理士など)、クリニックなどでは、初回対応から契約・フォローまでのプロセスが長期化することも多く、顧客対応の履歴をきちんと管理することが業務の要となります。
不動産業では、来店・内見・契約・引き渡しといった一連のステップを商談管理機能で可視化し、各ステージで必要な対応をタスク化します。たとえば、「内見後3日以内にフォロー連絡」などのルールをCRMに組み込むことで、営業のばらつきを防ぎ、対応スピードと品質を一定に保つことができます。
士業では、初回相談から委任契約、手続きの進捗状況、各種期限管理などをCRM上で一元的に記録・管理できます。クライアントごとに相談内容や提出書類、連絡履歴を残しておくことで、トラブルの防止や継続的な信頼構築にもつながります。
クリニックでは、診療予約や問診履歴、定期健診のリマインドなどをCRMと連携させ、患者との継続的な関係づくりに活用されています。LINE連携やSMS配信といった機能を併用することで、患者一人ひとりに対してパーソナライズされた対応が可能になります。
このように、業種ごとの業務プロセスにあわせてCRMをカスタマイズ・活用することで、業務効率の改善と顧客満足度の向上が両立できます。
CRM導入の流れと成功のポイント

ここでは、CRMを自社に導入する際の基本的なステップと、スムーズに運用定着させるための重要なポイントを解説します。CRMは導入するだけで成果が出るわけではなく、自社の業務に合わせた設計や現場への定着施策が欠かせません。導入前の準備から選定、運用フェーズまで、具体的な手順とその中で意識すべき点を順を追って紹介します。
現状業務の可視化と課題整理
CRMを導入する最初のステップは、現状の業務フローを明確にし、どのような課題が存在しているかを把握することです。営業やマーケティング、カスタマーサポートなど、顧客と接点を持つ各部門の業務内容を整理し、それぞれがどのようなツールや管理方法を使っているかを洗い出します。
たとえば、リード管理がスプレッドシートで行われており、対応履歴が個別のメモに分散している場合、情報の更新漏れや引き継ぎミスが発生しやすくなります。こうした属人的な管理体制がどのようなロスを生んでいるかを具体的に明らかにすることが重要です。
現場担当者へのヒアリングや業務フローの図式化を通じて、非効率なプロセスや情報分断のポイントを見つけ出します。これにより、CRMで解決すべき課題や導入後に改善したい業務が明確になり、システム要件の設定にもつながります。
このフェーズを丁寧に行うことで、単なるシステム導入ではなく、業務改善のための本質的な設計が可能になります。
CRM選定とトライアル導入
業務課題が整理できたら、それに合ったCRMツールの選定に進みます。CRMには多くのサービスが存在し、機能・価格・拡張性・UIなどがそれぞれ異なります。選定時には、必要な機能が備わっているかだけでなく、現場で継続的に使えるかどうかという視点も欠かせません。
中小企業であれば、低コストかつ操作性に優れたクラウド型CRMが候補となることが多く、たとえばZoho CRMやHubSpot CRMなどが人気です。一方で、大規模組織や複数拠点での運用を想定する場合は、Salesforceのようなカスタマイズ性の高い製品も検討対象となります。
導入前には、必ずトライアル(無料体験)やデモを実施し、実際の使用感や現場の反応を確認します。トライアル期間中には、実際に社内の顧客データを一部投入してみて、操作性や画面構成、レポート出力のしやすさなどをチェックすると効果的です。
選定の最終段階では、システム部門だけでなく実際の運用担当者も交えて評価することが重要です。ツールに対する現場の納得感が、その後の運用定着に大きく影響します。
社内への定着と教育体制の構築
CRM導入後に最も重要なのが、社内での定着です。いくら高機能なCRMを導入しても、現場で使われなければ意味がありません。導入初期段階では、従業員が「なぜCRMを使うのか」「どのように入力・運用するのか」といった目的と運用ルールをしっかり理解できるようにする必要があります。
まずは管理画面の使い方や入力ルールを明文化し、マニュアルや研修資料を整備します。特に営業現場では、「データ入力に時間を取られるのではないか」「成果につながるイメージが持てない」といった不安が出やすいため、最初は入力項目を絞ってシンプルに始めることも有効です。
加えて、管理者やリーダーが率先してCRMを活用する姿勢を見せることで、現場の心理的ハードルを下げることができます。定期的な活用状況のモニタリングや、入力状況に応じたフィードバックも効果的です。
教育面では、初期研修だけでなく、運用フェーズに入ってからのリマインド研修や個別相談の機会も重要です。また、データを活用したレポートや会議資料を共有することで、CRMを使うことで成果が見えるという成功体験をチーム全体で共有できます。
CRMの定着とは、単に操作を覚えることではなく、業務の一部として自然に活用される状態をつくることです。そのためには、システム面と人材面の両方から丁寧な支援が求められます。
CRMの選び方と比較ポイント

ここでは、CRM導入を検討する企業が「自社に合ったCRMを選ぶための判断軸」として意識すべきポイントと、代表的なCRMツールの特徴を比較します。企業の規模や目的、事業フェーズによって最適なCRMは異なります。自社の状況に応じて、どのような軸で選ぶべきかを整理することで、導入の失敗リスクを減らし、実務で活用できる体制を整えることができます。
導入目的・事業フェーズに合った選定
CRMを選ぶ際には、まず自社のビジネスの目的、現在の事業フェーズ、そして将来的な成長見込みを明確にすることが重要です。
たとえば、創業直後や小規模チームであれば、初期コストをなるべく抑え、まずは顧客情報の管理・共有体制を整えることが目的になるでしょう。こうしたフェーズでは、操作が簡単でスモールスタートできるCRMが適しています。
一方で、すでに多くの顧客を抱え、営業部門・マーケティング部門・サポート部門など複数部門で連携しつつ、大量の商談やデータ分析、将来の拡張を見据える企業では、カスタマイズ性や拡張性、他ツールとの統合性が高いCRMを選ぶべきです。
また、将来的に広告運用、マーケティングオートメーション(MA)、E‑commerce、サポート業務などを組み合わせたい場合、そのあとの拡張性を見越した選定が成果に関わります。目的・規模・将来展望に応じて適切なCRMを選ぶことが、導入成功の第一条件です。
主なCRMツールと特徴比較
ここでは、特に導入実績が多く、機能・コスト・拡張性のバランスで注目されている下記4つのCRMツールを比較します。
- Zoho CRM
- Salesforce
- kintone
- HubSpot CRM
以下に、それぞれの強みと向いている企業像を整理します。
Zoho CRM:低コスト・カスタマイズ性
Zoho CRM は、低価格ながら CRM/SFA/MA 機能を幅広く備えるオールラウンダー型のツールです。顧客管理、商談管理、メール配信、ワークフロー管理、見積書・請求書管理まで、さまざまな業務プロセスをカバー可能です。
そのため、小規模〜中小企業、スタートアップ、あるいはコストを抑えてまずはCRMをスタートしたい企業に非常に適しています。Zoho CRM は費用対効果が高く、必要な機能を抑えつつ導入できる点で評価が高いです。
ただし、多機能であるがゆえに初期設定や運用設計に時間がかかることがあります。導入時は、管理画面や入力項目、ワークフロー定義などをあらかじめ整理しておくことが望ましいでしょう。
ZohoCRMについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ご興味があればぜひこちらもご覧ください。
(参考)
Zoho CRMの使い方を徹底解説!概要から実際の手順まで紹介します
Salesforce:拡張性と本格運用
Salesforce は世界的にも導入実績が豊富なCRMプラットフォームで、多機能かつ高い拡張性が強みです。営業支援(SFA)、CRM機能、帳票管理、外部システムとの連携、APIによるカスタマイズなど、企業の成長フェーズや業務の複雑化に柔軟に対応できます。
特に大規模組織や複数部署が関与する商談・受注プロセス、大量の顧客データ、複雑なワークフロー管理が必要な企業では、Salesforce のような本格的なCRMが力を発揮します。
ただし、その分コストが高く、初期設定や運用管理、スタッフの学習コストが大きくなる場合があります。また、導入時には現場の業務設計をしっかり行わないと、機能過多で運用負荷が高まるリスクがあります。
SalesforceとZohoの比較について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
(参考)
ZohoとSalesforce、どちらを選ぶべき?特徴・価格・機能面から徹底比較!
kintone:柔軟性とノーコード開発
kintone は、厳密には伝統的なCRMではなく「業務アプリ構築プラットフォーム」ですが、顧客管理や案件管理、ワークフロー管理などをノーコード/ローコードで柔軟に構築できる点が特徴です。
Excel感覚でアプリを作成できるため、IT に詳しくない担当者でも扱いやすく、小規模チームや、営業以外の業務(受注処理、請求管理、タスク管理など)も同時に管理したい場合に有用です。初期費用が抑えられ、必要に応じて機能拡張できるため、まずは自社業務の可視化から始めたい企業にとっては導入しやすい選択肢です。
一方で、標準のCRM/SFA機能(商談パイプライン管理、リードスコア、MA連携など)は、プラグインやカスタム開発が必要な場合があり、デフォルト機能だけでは限界があることに留意が必要です。
HubSpot CRM:インバウンドマーケとの連携
HubSpot CRM は、使いやすさとマーケティング/営業/カスタマーサービスを統合できる点が強みです。UI が直感的で導入が容易なため、CRM 導入がはじめての企業や、小〜中規模のチームに適しています。
無料プランであっても顧客管理・リード管理・基本的なレポート機能が使えるため、まずはコストを抑えてCRM運用を開始したい企業には選びやすい選択肢です。
さらに、有料プランに拡張すればマーケティングオートメーション(MA)、メール配信、セグメント管理、チャット/コンタクトフォーム連携など、広告運用やインバウンド集客と組み合わせた運用がしやすくなります。
ただし、HubSpot は機能が簡易的である分、複雑な営業プロセスや高度なカスタマイズを必要とする企業では機能不足を感じる場合があります。事業の成長に応じて機能が足りなくなる可能性もあるため、将来の拡張性にも注意が必要です。
ツール選定の目安とチェックポイント
上記のように、各ツールにはそれぞれ強みと弱みがあります。選定時には、以下のような視点で比較するとよいでしょう。
- 現在の社員数、営業規模、顧客数 のボリューム感
- 営業プロセスの複雑さ(単純リード管理か、複数ステップの商談管理か)
- 広告運用・マーケティング・顧客サポートとの連携ニーズ
- 導入コスト(ライセンス費用・運用工数・初期設定コスト)
- 拡張性・将来の機能追加の可能性
- 社内のITリテラシーや運用体制
特に初めてCRMを導入する企業では、低コストかつ操作が簡単な Zoho CRM や HubSpot CRM、あるいは柔軟に業務アプリを設計できる kintone から始め、運用に慣れたら必要に応じて Salesforce のような本格ツールに移行する、という風に段階を踏むのもおすすめです。
CRMを活用して広告効果を最大化するには

ここでは、CRMを単なる営業支援ツールとしてだけでなく、広告施策と連携させて成果を最大化する活用方法を紹介します。広告によって獲得したリード(見込み顧客)情報をCRMに統合し、スコアリングやナーチャリングによって精度の高いアプローチを行い、さらに分析による改善サイクルを回すことで、広告ROIを大きく高めることが可能になります。CRMと広告施策を連動させることの意義と実務での活用例を見ていきましょう。
リードデータと広告データの統合
広告運用を通じて獲得したリードは、その後のフォロー体制によって成約率が大きく左右されます。CRMにリード情報を取り込むことで、広告経由のリードの対応状況を一元管理し、迅速かつ適切なフォローアップを実現できます。
たとえば、Google広告やMeta広告のLP(ランディングページ)にフォームを設置し、フォーム送信後の情報を自動でCRMに登録することで、リード獲得から商談化までの流れをスムーズに設計できます。さらに、広告の出稿媒体、キャンペーン名、キーワード、広告グループなどのデータもCRMに付加しておけば、「どの広告が成果につながっているか」「どのチャネルの成約率が高いか」といった分析も可能になります。
Googleタグマネージャー(GTM)やZapierなどの連携ツールを用いることで、CRMと広告計測ツールを柔軟に接続でき、手作業による入力の手間や人的ミスを大幅に削減することもできます。広告施策を費用だけでなく“成約につながったかどうか”で評価できるようになれば、より戦略的な広告運用が可能になります。
リードナーチャリングとスコアリング
広告から獲得したリードはすぐに商談化・成約に至るとは限りません。むしろ、大半のリードは比較検討段階や情報収集段階にあり、適切なタイミングで再アプローチを行う必要があります。CRMは、こうしたリードに対してナーチャリング(育成)を行うための最適な基盤です。
たとえば、リード情報にタグを付けて属性を分類したり、過去の行動履歴(メール開封、LP再訪問、セミナー参加など)をもとにスコアを加算していくことで、購買意欲が高いリードを浮き彫りにできます。スコアが一定値に達したタイミングで営業がアプローチしたり、自動で案内メールを送信するなど、無駄のない動線を構築することが可能になります。
また、広告ごとに流入リードの質やスコア傾向を比較することで、「集客はできているが質が低い広告」「少数だが高スコアが多い広告」といった見極めができ、広告施策の最適化にも直結します。単なるクリックやフォーム送信数だけでなく、リードの“熱度”を可視化できるのはCRMならではの強みです。
分析・レポートによるPDCAサイクル
CRMに蓄積されたデータを活用することで、広告と営業活動の効果を定量的に振り返り、次の施策に活かすPDCAサイクルを構築できます。広告からの流入数、成約率、対応速度、平均単価、スコア分布などをレポート化することで、どこにボトルネックがあるのかが明確になります。
たとえば、広告経由での流入数は多いが成約率が低い場合、「ターゲティングの見直し」や「LPの改善」が課題となる可能性があります。一方、成約率は高いが対応までのリードタイムが長い場合は、「営業の対応体制強化」や「自動返信メールの改善」が必要になるかもしれません。
CRMとGoogleアナリティクス(GA4)やLooker Studioを連携させることで、オンライン上の動きと営業活動の結果をつなげたダッシュボードを構築することも可能です。たとえば、LPからの流入〜CRM登録〜商談化〜成約までを一元管理し、月ごと・媒体ごとに成果比較するレポートを自動生成すれば、意思決定のスピードと精度が格段に向上します。
このように、CRMを広告運用に連動させることで、施策を“出しっぱなし”にせず、継続的に効果検証・改善していくサイクルを生み出すことができます。
よくあるCRM導入・運用の課題と解決策

ここでは、CRMを導入した企業が実際に直面しやすい課題と、その対処法について解説します。CRMは強力な業務支援ツールですが、導入して終わりではなく、継続的に運用し成果につなげるには、社内の理解と適切な設計が不可欠です。よくある3つの課題とその解決策を確認し、自社での失敗を未然に防ぐためのヒントとして活用してください。
「現場が入力してくれない」問題
CRM運用において最もよくある課題の一つが、「営業担当者がデータを入力してくれない」「入力作業が面倒で放置されてしまう」といった現場の非協力状態です。これでは、せっかく導入したCRMも空のデータベースに過ぎず、可視化も分析も行えません。
この課題の背景には、「入力が面倒」「使い方がわからない」「入力しても自分の業務に役立たない」という心理的な壁があります。これを乗り越えるためには、以下のような対策が有効です。
- 最初は入力項目を絞り、シンプルな運用から始める
- 入力の目的とメリットを明確に伝える(たとえば「入力すれば提案資料が自動で作成される」など)
- 現場の声を反映して、使いやすい画面設計やルールに改善する
- 定例ミーティングやレポートで、CRM入力の成果を共有し、活用実感を得られるようにする
また、リマインダー機能やスマホアプリとの連携によって、現場での入力を「思い出せる」「手軽にできる」状態にする工夫も重要です。CRMは業務のためにあることを社内全体で再認識することが、入力促進の第一歩です。
カスタマイズしすぎて運用崩壊
CRMは柔軟にカスタマイズできることが魅力ですが、あれもこれもと機能を詰め込みすぎた結果、複雑すぎて誰も使いこなせなくなるというケースも少なくありません。これは特にSalesforceやZoho CRMのような多機能ツールで起こりがちです。
たとえば、項目数が多すぎて入力に時間がかかる、設定されたワークフローが煩雑すぎて現場の業務と合わない、管理者しか運用ルールを理解していない、などの状況が生まれると、逆に業務の非効率を招いてしまいます。
この課題への対策は「最小構成からスタートし、段階的に拡張する」ことです。CRM導入初期は、顧客情報・商談管理・基本タスクの3つに絞るなど、最低限の運用を確立してから、現場の声や成果をもとに必要な機能だけを追加していくのが効果的です。
また、カスタマイズは業務プロセスを支援するための手段であり、目的ではないという意識をチーム内で共有しておくことも重要です。使いやすさとシンプルさを保ちながら、業務に合ったシステムを構築することが長期的な活用の鍵になります。
担当者変更によるブラックボックス化
CRMを導入しても、特定の担当者だけが内容を理解・運用しており、別の担当者に交代したとたんに運用が止まる、データの意味がわからない、設定内容が誰にも引き継がれていない、といった事態が起きることがあります。これは「運用がブラックボックス化している状態」と言えます。
特に中小企業では、CRM導入を1人の担当者に任せきりにするケースも多く、担当者の退職や異動がきっかけで、CRMの運用そのものが失われてしまうリスクがあります。
このような事態を防ぐには、以下のような対策が有効です。
- CRMの設定・操作方法をマニュアル化し、社内ナレッジとして残す
- 管理者を複数名体制にしておき、運用の属人化を防ぐ
- 定例会やレビューで設定内容や運用状況をチーム全体で共有する
- カスタマーサクセス担当(ベンダー)と定期的に接点を持ち、第三者視点での改善提案を受ける
また、定着初期の段階から「このツールは組織で使うものであり、個人の判断だけで変更できない」という文化を醸成しておくことも重要です。CRMの透明性と継続性を保つためには、運用そのものを「チームの資産」として守る意識が求められます。
CRM導入でよくある質問・FAQ

ここでは、CRM導入を検討している企業や担当者からよく寄せられる質問について、簡潔に解説します。初めてCRMを扱う場合、機能や費用、使い始めるタイミング、他ツールとの違い、既存システムからの移行など、さまざまな疑問が生まれます。これらの不安を解消することで、導入判断の助けとなる情報を得ることができます。
CRMは無料で使えるものもある?
はい、一部のCRMには無料プランが用意されており、初期コストをかけずに導入・運用を始めることが可能です。たとえば、Zoho CRMは基本的な顧客管理や案件管理、簡単なレポート機能などを無料で利用できる「無料トライアル期間」が用意されています。ただし、無料プランでは使える機能に制限があることが多く、本格的な分析やカスタマイズ、マーケティング連携などが必要な場合は有料プランへの移行が前提になることもあります。まずは無料プランで試し、使いやすさや社内での適合性を確認するのがよいでしょう。
CRMとMAはどちらが先?
基本的にはCRMの導入が先です。CRMは顧客情報を中心に営業・マーケティング・サポートの活動を支える基盤であり、その後にMA(マーケティングオートメーション)を連携することで、リード獲得から育成、営業引き渡しまでのプロセスを自動化・効率化できます。CRMが整っていない状態でMAを導入しても、適切なターゲット設定やデータ連携ができず、運用が破綻するリスクが高まります。まずはCRMでデータ基盤と業務の可視化を行い、その上でMAによる自動化を検討するステップがおすすめです。
CRMは何人以上のチームで使うと効果的?
明確な人数制限はありませんが、3〜5人以上の営業チームや複数部署が顧客対応を行う場合には、CRMの導入による効果が特に顕著に表れます。情報共有が必要な場面が増えたり、案件の進捗をチーム全体で把握したりする必要がある組織では、CRMが業務効率の向上や対応ミスの防止に直結します。個人営業でも、リード数が増え対応管理が煩雑になってきた段階で、CRMの導入を検討する価値があります。
中小企業におすすめのCRMは?
中小企業には、初期費用が抑えられ、操作性がシンプルで導入しやすいクラウド型CRMがおすすめです。たとえば、Zoho CRMは月額料金が低く、案件管理やメール配信、レポート機能など基本的なCRM機能を一通り網羅しています。また、HubSpot CRMは無料プランで始められるため、まずは導入して使い勝手を確認したい企業に適しています。kintoneも、柔軟にアプリを組み立てられるため、業務に合わせた自由度の高い構成が可能です。選定時は「目的」「人数」「他ツールとの連携」を基準に比較するとよいでしょう。
乗り換え時のデータ移行はどうする?
既存の顧客情報や商談データを新しいCRMへ移行する際には、CSVファイルなどを使って一括インポートできる機能を活用します。ほとんどのCRMには「データ移行機能」や「項目マッピング機能」が備わっており、旧システムから出力したファイルのフォーマットを調整することでスムーズに移行できます。また、重複データの自動検出や、更新日を基準にした上書き設定なども活用すれば、ミスや抜け漏れを防ぐことができます。必要に応じて、移行期間中は旧CRMと並行運用を行いながら、段階的に完全移行する方法も有効です。
株式会社ArchRiseはCRM構築・運用に対応しています
株式会社ArchRiseはCRMの構築や運用支援における豊富な実績を持っています。また、CRMの他にも、リスティング広告運用、SEO対策やSNS広告、サイト制作、コンテンツマーケティングなど多岐にわたるデジタルマーケティングサービスを提供しています。様々なご要望に向き合い、クライアントの目標達成を支援します。ご相談は無料で可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、CRM(顧客関係管理)について、その定義から具体的な機能、導入メリット、活用事例、選定のポイント、広告連携による効果最大化、そしてよくある課題とその解決策まで、幅広く解説しました。
CRMは単なる顧客台帳ではなく、営業活動の質とスピードを向上させ、見込み客の取りこぼしを防ぎ、組織的な売上向上に貢献する「仕組み」として、ますます重要性を増しています。導入にあたっては、自社の事業フェーズや目的に合ったツールを選定し、段階的な定着と運用体制の構築が欠かせません。
広告運用とCRMを連携させることで、獲得したリードに対して戦略的なフォローアップが可能となり、コンバージョン率やLTVの向上にもつながります。また、定量的なレポート分析によって、広告施策と営業活動を一体化したPDCAサイクルを実現できます。
初めてCRMを導入する企業でも、小さな一歩からスタートし、継続的に改善・拡張していくことで、大きな成果へとつなげることができます。自社にとっての最適なCRM運用体制を築くために、ぜひ本記事で得た知識を実務に活かしてみてください。

