自動車販売店におけるWEB広告の種類と代理店の選び方

ここ数年、各地域で「中古車 検索」をすると、リスティング広告を出している中古車販売店や車屋を目にする機会が増えてきました。かつては他業界に比べてWEB広告への取り組みが遅れていた自動車業界ですが、現在では徐々に導入する企業が増加しています。とはいえ、全国の中古車販売店や車屋のうち、自社ホームページを活用して本格的にWEB広告を展開しているのは、まだ10%未満にとどまっているのが実情です。

そのため「これからWEB広告を始めるべきか迷っている」「現在運用しているが本当に今の方法でいいのか不安」という声も少なくありません。実際にWEB広告を配信している販売店の多くは、自社での運用ではなく外部のWEB広告代理店に依頼しているケースが大半です。ところが、その代理店を選んだ理由は「以前から付き合いがあるから」「知人に紹介されたから」「営業が来たから」など、明確な判断基準に基づいていないことも少なくありません。

本記事では、これからWEB広告に取り組もうと考えている方、すでに代理店に依頼している方に向けて、車屋・中古車販売店が知っておくべきWEB広告の優先順位と、良い代理店と悪い代理店の見極め方について詳しく解説します。

目次

WEB広告の種類について

優先順位の解説に入る前に、まずはWEB広告の種類について触れておきます。WEB広告には多くの形式がありますが、そのすべてを理解しなくても問題ありません。本記事では、中古車販売店や車屋が特に取り組むべき代表的な広告手法に絞って紹介します。

すでにWEB広告の種類についてご存じの方は、このパートは読み飛ばしていただいても構いません。どの広告が自社に合っているのか判断するための参考として、ぜひチェックしてみてください。

WEB広告① 検索連動型広告(リスティング広告)

最も基本となるのが、検索連動型広告(リスティング広告)です。ユーザーが検索したキーワードに応じて広告を表示でき、GoogleやYahoo!が主要な媒体となります。検索結果の最上部に表示されるのがこの広告で、多くの中古車販売店・車屋がまず取り組む広告手法です。購入意欲の高いユーザーに直接アプローチできるのが大きな特徴です。

WEB広告② バナー広告(ディスプレイ広告)

続いて、ディスプレイ広告と呼ばれるバナー広告です。リスティング広告が検索時に表示されるのに対し、ディスプレイ広告はWebサイトやアプリを閲覧している際に画像やテキストとして表示されます。特に多く活用されているのが「リターゲティング広告」で、一度自社サイトを訪れたユーザーに再度広告を表示し、検討を促す仕組みです。媒体としてはGoogle、Yahoo!、Instagram、LINEなど幅広く利用可能です。

WEB広告③ 動画広告

近年利用が拡大しているのが動画広告です。代表的なのはYouTube広告ですが、TVerやAmebaなどの動画配信サービスに出稿するケースも増えています。動画広告もディスプレイ広告と同様に、ターゲットとなるユーザーの属性や興味関心に合わせて配信される仕組みです。映像や音声で訴求できるため、自動車の魅力を直感的に伝えやすいのが強みです。

中古車販売店・車屋が取り組むべきWEB広告の優先順位

WEB広告にはさまざまな種類があり、細かく分ければ無数の手法が存在します。しかし、すべてを網羅的に取り組もうとすると、予算もリソースも分散してしまい、効果が出にくくなります。そこで本記事では、大枠の広告種類を踏まえたうえで、中古車販売店や車屋がどのような優先順位でWEB広告を進めるべきかを解説します。

リスティング広告における優先順位

リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに対して広告を配信できるのが特徴です。中古車販売店や車屋の場合、注力すべきキーワードは大きく次の3つに分類できます。

  1. 業態と関連性の高いキーワード
     例:「輸入車」「軽 中古車」「軽トラ 軽バン」など、自社が強みを持つ業態に直結するもの。
  2. 車種キーワード
     例:「スペーシア」「N-BOX」「ジムニー」など、実際に取り扱っている車種やメーカー名。
  3. ボディタイプに関するキーワード
     例:「スライド」「セダン」「SUV」など、自社が販売する車のタイプに関するもの。

優先順位は上記の順番です。特に予算が限られている場合や初めて広告を出す場合は、自社の強みと最もマッチする「業態キーワード」から始めるのがおすすめです。

なお、弊社が実際に中古車販売店や車屋の広告運用を行う中で見つけた、もう一つ重要な「軸」が存在します。このノウハウを押さえることで、小予算でも来店数増加や収益性改善が可能となりますが、詳細は弊社に運用をご依頼いただいた企業様にのみご提供しています。

ディスプレイ広告における優先順位

ディスプレイ広告はターゲティングの自由度が高く、配信先も数百万単位に及ぶため、運用力が成果を大きく左右します。その中でも最優先で取り組むべきはリターゲティング広告です。

リターゲティング広告は、一度自社サイトを訪問したユーザーに再び広告を表示する仕組みで、温度感が高い見込み客に継続的にアプローチできます。繰り返し広告を目にすることで、ユーザーの記憶に残りやすく、再訪問や来店意欲を高める効果が期待できます。

その他のターゲティング手法は媒体によって異なりますが、共通して利用できるのは「関心層リスト」や「キーワード指定型」です。リスティング広告で活用している業態キーワードをそのまま関心層の生成に使えば、自社に合ったターゲティングが可能になります。

動画広告の優先順位

動画広告はYouTubeやTVer、Abemaなどで展開できますが、制作や運用に手間がかかるうえ、効果測定が難しいのが課題です。来店数を増やすという直接的な目的では優先順位は低めになります。

特にTVerやAbemaのような配信先は「認知拡大型」の広告になりやすく、実際にどの程度来場数に寄与したかを測るのは難しい傾向があります。ただし、目的が認知向上であれば効果的に活用できますので、ブランディング施策として取り組む価値はあります。

ターゲット企画とは

ここまで広告の優先順位について解説してきましたが、ある程度WEB広告の運用に取り組んだ先に必要となるのが「ターゲット企画」です。おそらく現時点でこの考え方を実践できている中古車販売店や車屋はほとんどありません。しかし、2030年に向けては必ず必要になるマーケティングの要素といえます。

その理由は、中古車販売業界がすでに成熟産業にあるためです。今後は人口減少や所得の伸び悩み、自動車性能の向上による乗り換え頻度の低下などから、市場規模は縮小していく可能性があります。その中で生き残るためには、単に在庫を並べるのではなく「ユーザーのニーズに合わせて、自社商品の見せ方や訴求を変える」ことが欠かせません。

例えば「30代のシングルマザーでパート暮らしのお客様」には、生活に合った価格帯や維持費の安さを前面に出した情報を。「40代の家族連れで200万円以内のミニバンを探しているお客様」には、予算に合った車種を専用のバナーやページで訴求する。このように、ターゲットごとにメッセージや導線を作り込み、適切なタイミングで情報を届ける仕組みを作るのがターゲット企画です。

これは自社の商品や顧客層を深く理解したうえで、WEBマーケティングをどのように組み合わせるかを考える取り組みです。単に「在庫があれば売れる」時代はすでに終わりつつあり、これからは「自分のニーズに合う商品があるかどうか」が購入の判断基準になります。さらにデジタルやAIの進化により、ユーザーは自ら探すのではなく「必要な情報が必要なタイミングで届く」ことを期待するようになっています。

ターゲット企画は難易度が高い一方で、これからの時代に適応するための必須戦略です。今のうちから意識して取り組むことで、縮小傾向にある市場の中でも確実に成果を出していける販売店となれるでしょう。

ここからはそんなWEB広告の運用を外注する場合の代理店の選び方を紹介します!

WEB広告代理店の種類

WEB広告代理店と一口に言っても、提供できるサポート内容によっていくつかの種類に分かれます。ここでは中古車販売店・車屋が依頼する際に知っておきたい4つのタイプを紹介します。

① WEB広告運用のみ

最も多いのが、広告運用だけを代行する代理店です。予算をもとに媒体ごとの配分を決め、広告を運用し、レポートで報告します。基本的に「運用だけ」を依頼する形になるため、打ち合わせや追加サポートは別料金になる場合もあります。

② WEB広告運用+バナー制作・ホームページ制作

広告運用に加えて、バナーやLPなどの制作にも対応する代理店です。ディスプレイ広告やSNS広告を出稿する際に多様なクリエイティブを準備できる点がメリットですが、制作費は別途発生するのが一般的です。

③ WEB広告運用+サイト分析や施策提案

広告運用に加え、コンサルティング的な提案も行う代理店です。ホームページの分析を行い、改善点を提示したり、販促費の適正化をアドバイスしてくれるため、外注先というよりは「外部パートナー」として伴走してくれる存在です。

④ WEB広告運用+制作+施策提案(フルサポート型)

広告運用、制作、提案をすべて一気通貫で担う代理店です。人材や体制の面から数は少ないですが、最も成果につながりやすいタイプといえます。広告運用と制作の両面で質を担保できるため、戦略から実行まで任せたい場合に適しています。

車屋・中古車販売店にとって良いWEB広告代理店とは

車屋・中古車販売店がWEB広告を行う目的は、最終的に「集客を伸ばすこと」です。そのため良い代理店の条件は、広告のクリック数や表示回数といった数値ではなく、実際の集客数を最も重要なKPIとして運用してくれるかどうかにあります。

Google広告には、実店舗への来店をコンバージョンとして計測できる機能があります。もちろん出稿額や配信期間によって計測できないケースもありますが、来店数という現実的な指標に着目し、それを伸ばすことにコミットしてくれる代理店は信頼できる存在といえます。

さらに一歩踏み込んで、広告運用の報告だけでなく「どうすればもっと費用対効果を高められるか」という視点で、サイト改善やクリエイティブ改善、さらには現場での対応改善まで提案してくれる代理店であれば、より理想的です。ここまで対応できる代理店は多くありませんが、本当に成果を出せる代理店の特徴として押さえておくべきポイントです。

車屋・中古車販売店にとって悪いWEB広告代理店とは

一方で、避けるべき代理店にはいくつかの共通点があります。代表的なのは、実店舗への来店数ではなく問い合わせ件数だけを成果指標とし、広告運用の改善提案を行わないタイプです。

さらに、費用対効果があまり良くない状況にもかかわらず出稿額の増額をすすめたり、来店に直結しにくい認知型の広告ばかりを推奨してくる代理店も注意が必要です。

中古車販売店は1台あたりの粗利が比較的高いため、広告費を多めにかけられる業界です。その特性を逆手にとり、「来店」という実績を曖昧にしたまま成果が出ているように見せかける代理店も存在します。

大切なのは、問い合わせ数や広告の露出量だけではなく、総集客数が確実に増えているかどうかという視点で成果を判断することです。この点を見誤らないようにすることで、代理店選びの失敗を防ぐことができます。

自動車販売店のWEB広告ならArchRise

ArchRiseは、自動車販売店・中古車販売店のWEB広告運用を得意としています。リスティング広告やディスプレイ広告をはじめ、業界特有のキーワード戦略やターゲティング手法を熟知しているため、無駄のない集客施策をご提案できます。

また、広告運用だけでなく、バナーやLP制作、サイト分析を通じた改善提案まで一貫してサポート可能です。実店舗への来店数をKPIに据えた実践的な広告運用で、成果につながるマーケティングを実現します。

「これからWEB広告を始めたい」「現在の代理店に不安がある」という方は、ぜひArchRiseにご相談ください。

まとめ

本記事では以下の内容を中心に、自動車販売店・中古車販売店が押さえるべきWEB広告戦略の要点を整理しました:

  • WEB広告の種類と優先順位
    リスティング広告、ディスプレイ広告、動画広告の特徴と、それぞれにおける取り組むべき順序を明確に解説しました。
  • ターゲット企画の重要性
    今後市場が成熟していく中、顧客のニーズに応じた表現や導線設計が不可欠であることを示しました。
  • 代理店の選び方
    自社に合った代理店タイプ(運用のみ/制作含む/コンサル伴走型/フルサポート型)と、良い代理店・悪い代理店の具体的な特徴を整理しました。

今後は、ただ広告を出すだけではなく、顧客のライフスタイルに寄り添ったアプローチや精度の高い運用が成果につながります。

「どのWEB広告から始めればいいのか」「ターゲット企画の進め方がわからない」といったお悩みにも対応可能です。ご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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