自動車ディーラーや中古車販売店では、多様な車種が取り扱われています。しかし、自動車は生活を便利にする一方で高額商品であり、気軽に購入を決断できるものではありません。そのため「DMやチラシを配布しても来店が増えない」「販売台数が思うように伸びない」といった課題を抱える店舗も少なくありません。こうした悩みを解決するには、自動車業界の現状や顧客の購買行動を正しく理解し、的確な集客施策を打つことが重要です。本記事では、売上アップにつながる集客のヒントをわかりやすく解説します。
自動車販売業界の集客における変化とは?
自動車販売業界では、ここ数年で大きな変化が起きています。こうした流れを理解することは、効果的な集客施策を立てるうえで欠かせません。主なポイントは以下の2つです。
- 自動車の販売台数が全体的に減少している
- 購入前にインターネットで情報を徹底的に調べる人が増えている
まずはこれらの変化について詳しく見ていき、現状をふまえたうえで自動車販売店が実践すべき集客方法を紹介していきます。
【変化1】自動車の販売台数が減少している背景
国内の新車販売台数はここ数年で減少傾向にあります。たとえば、2021年度の新車販売台数は約421万台となり、前年より9.5%減少しました。
背景には、新型コロナウイルスによる生産工場の稼働停止や、世界的な半導体不足といった要因があります。これらの影響は現在も続いており、従来通りの営業スタイルだけでは売上確保が難しくなっています。
そのため、自動車販売店はこれまで以上に効果的な集客方法を取り入れ、変化する市場環境に対応する必要があります。
【変化2】来店前にインターネットで情報収集する人が増えている
以前は「店舗に足を運び、営業担当者の話を聞きながら車を選ぶ」という流れが一般的でした。来店 → 営業マンからの提案 → 試乗 → 購入というシンプルな購買行動です。
しかし現在は、まずインターネットで情報を集め、候補を絞り込んでから店舗に訪れる人が増えています。
具体的には、スマートフォンやパソコンで欲しい車を探し、口コミや比較サイトで評判を確認。その上で「試乗して確認するためだけに来店する」といった行動が主流になっています。さらに、来店後すぐに購入せず、一度持ち帰って再検討するケースも少なくありません。
つまり、自動車販売店にとっては「来店前の情報収集段階」で候補に選ばれることが重要であり、自社サイトやSNSなどオンラインでの発信力が集客を左右するようになっているのです。
結論:オンライン集客とオフライン集客の両立が鍵
これまで見てきたように、自動車販売店にとって「オンライン集客」は欠かせない施策です。検索エンジンやSNS、ポータルサイトを通じて情報収集する顧客が増えている以上、ネット上での発信力を高めることは来店につなげるために必須といえます。
一方で、オフライン集客の重要性がなくなったわけではありません。自動車は高額商品であり、購入の最終判断には店舗での説明や試乗といった直接的な接点が求められるからです。特に高齢層では、チラシやDMといった従来型の集客手段が依然として効果的です。
つまり、自動車販売店の集客で成果を出すには「オンラインとオフラインの両輪」で戦略を組み立てる必要があります。次の章では、それぞれの具体的な手法について解説します。
自動車販売のオフライン・店舗の集客方法5つ
オンライン集客が重要視される一方で、自動車販売店にとっては「来店」を前提としたオフライン集客も依然として大きな役割を果たします。特に高額商品の自動車は、直接の接客や信頼感が購買に直結するため、オフライン施策の工夫が不可欠です。ここでは、自動車販売店が取り組むべきオフライン集客の代表的な方法を5つご紹介します。
集客方法 | 特徴 |
---|---|
CM(コマーシャル) | ・音声や映像で即座に情報を届けられる ・ターゲットの反応や効果が把握しにくい ・会社のイメージやブランディング構築に活用できる |
チラシの配布 | ・配布エリアを把握できるが、手元に届くまでに時間がかかる ・1枚の紙に情報を収める必要があり、伝えられる情報量が限られる |
DM(ダイレクトメール)の送付 | ・ターゲットを絞って案内でき、効果測定がしやすい ・ただし開封されない可能性がある |
イベントの開催 | ・対面でアプローチでき、信頼感や満足度を高めやすい ・質の高い企画を目指すほどコストがかかる |
タクシー広告 | ・ビジネスパーソンや富裕層など特定層に届きやすい ・ターゲットが限定され、広範囲のPRには不向き |
とはいえ、ここまで紹介しただけでは「結局どの手段を選べばいいのか」が分かりづらいかもしれません。そこで、本記事では集客方法ごとに以下の情報を整理しました。
- 概要
- メリットとデメリット
- 活用できる具体的なシーンとポイント
それぞれの特徴を踏まえて、自社に合った最適な集客手法を選んでみてください。
【方法1】CM(コマーシャル)
1つ目のオフライン集客方法は「CM(コマーシャル)」です。テレビやラジオ番組の合間に流す広告で、あらかじめ制作した映像や音声を放送することで、サービスやキャンペーンの認知を広げられます。
「ターゲットを絞れないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、放送する地域や時間帯を工夫することで、効果的に狙った層へアプローチすることが可能です。例えば、ファミリー層を狙うなら夕方の番組、ビジネス層を狙うなら朝のニュース番組前後に放送する、といった工夫が考えられます。
メリット
- 年齢や性別を問わず、幅広くアプローチできる
- 文字だけでは伝わりにくい情報を音声や映像で補える
- 音楽や映像によって印象に残りやすく、ブランディング効果も高い
インパクトのあるテーマソングやキャッチコピーを用意すれば、「あのCMの会社ね!」と認知されやすくなり、親近感や安心感にもつながります。
デメリット
- 制作費・放映費が高額になりやすい
- ピンポイントでターゲットを絞りにくい
- 広告効果を数値で測定しにくい
誰が視聴しているのかを特定できないため、費用対効果を明確に判断しにくいのが課題です。十分な効果が得られないままコストがかさんでしまうリスクもあります。
活用シーン・ポイント
- 認知拡大やブランドイメージ構築を目的とする場合に有効
- 特に新規顧客に「信頼感・安心感」を与えたい販売店や新規ディーラーに向いている
【方法2】チラシ配布
2つ目のオフライン集客方法は「チラシ配布」です。
チラシはキャンペーン概要や店舗案内を1枚の紙にまとめて印刷し、新聞折込やポスティング、店舗設置などを通じて配布する方法です。地域密着型のビジネスに特に適しています。
メリット
- 配布エリアを絞れるため、地域密着型の集客に効果的
- 紙媒体なので手元に残りやすく、何度も見返してもらえる
- 文字情報が中心のため、詳細を正確に伝えやすい
- 制作コストが比較的安価
例えば、キャンペーン情報や保証内容を明記したチラシは顧客の安心感を高め、購買意欲につながります。特に高齢者などインターネットを利用しない層にも届くのが強みです。
デメリット
- ターゲットに届くまでに時間がかかる
- 広範囲への配布は難しい
- 捨てられるリスクや、そもそも読まれない可能性がある
- 記載内容に誤りがあっても配布後に修正できない
そのため、イベント告知など期限がある情報を掲載する際は、配布スケジュールを慎重に計画する必要があります。
活用シーン・ポイント
- 地域住民への認知拡大や、リピート促進施策に有効
- オンライン施策(WebサイトやSNS)と組み合わせると相乗効果が期待できる
- 高齢層やインターネットを活用しない顧客層への接触手段として効果的
【方法3】DM(ダイレクトメール)
3つ目のオフライン集客方法は「DM(ダイレクトメール)」です。
DMとは、郵便やメールを通じてターゲットに直接チラシ・パンフレット・手紙・SMSなどを送付する施策です。住所やメールアドレスを利用するため、ピンポイントでアプローチできるのが大きな特徴です。
メリット
- 顧客を指定して送付でき、購買段階に応じたアプローチが可能
- 送付後の反応(購入率や来店率など)が分析しやすい
- 紙媒体の場合、詳細な情報を正確に伝えられる
たとえば「車検が近い顧客」に対して点検キャンペーンの案内を送ると、来店につながりやすくなります。
デメリット
- 制作費・印刷費・配送費がかかる
- 顧客の手元に届くまで時間がかかる
- 宛先や住所の誤記はトラブルやクレームにつながる
- 開封されずに廃棄されるリスクもある
開封の手間があるため、封筒デザインやキャッチコピーで「思わず開けたくなる工夫」が必要です。
活用シーン・ポイント
- 既存顧客への定期フォロー(点検・車検・買い替えリマインド)に最適
- 新規顧客獲得よりも、リピーター育成や顧客ロイヤルティ強化に効果的
- SMSやメール配信と組み合わせることで、コストを抑えつつ即効性を高められる
【方法4】イベント開催
4つ目のオフライン集客方法は「イベントの開催」です。
店舗や商業施設での展示会、試乗会、ワークショップなどが代表例です。対面で顧客と接点を持てるため、信頼関係を築きやすく、その場での反応や関心度を把握しやすい特徴があります。
メリット
- 対面だからこそ顧客の反応や関心度を直接把握できる
- 商品やサービスの魅力をその場で伝えられる
- 自社に興味を持つターゲットが集まりやすい
- 高いPR効果が期待でき、SNSや口コミで拡散されやすい
試乗体験や整備相談会などは、来場者に自社の強みを実感してもらえる良い機会になります。
デメリット
- 企画立案・会場準備・日程調整など多くの工数が必要
- 広告や宣伝での集客が必須
- 満足度の高いイベントほどコストが膨らむ
会場費、ノベルティ制作費、コラボ費用などがかかるため、成果が見込めないと赤字リスクがあります。
活用シーン・ポイント
- 認知拡大や見込み顧客獲得など、目的を明確にしてから企画する
- 子ども向けイベントや来場プレゼントを用意すると幅広い層にアプローチ可能
- 自動車販売店では「新型車の展示会」「無料試乗会」などが効果的
【方法5】タクシー広告
5つ目のオフライン集客方法は「タクシー広告」です。
タクシー車内外に設置される広告を指し、ステッカー広告、アドケース(車内リーフレット)、デジタルサイネージ(タブレット広告)などの種類があります。乗客には経営者や高齢者など比較的資金に余裕のある層が多いため、高額商品との相性が良いとされています。
メリット
- 資金力のある裕福層にPRできる
- 閉鎖空間&乗車時間があるため注目されやすい
- 定期的にタクシーを利用する層に繰り返し接触できる
タクシーの性質上、乗車中は自然と広告に目が行きやすく、短時間でも高い訴求効果が期待できます。
デメリット
- 広告費が比較的高額
- 広範囲へのPRが難しく、ターゲットが限定される
- 効果測定がしづらい
特定のターゲットには強い影響を与えられますが、広く認知を取る手法としては弱点があります。
活用シーン・ポイント
- ビジネスパーソンや経営者などに向けたBtoBサービスに適している
- 高額商品のプロモーションに効果的
- デザインや動画のクオリティを高めると印象に残りやすい
自動車販売のオンラインの集客方法10つ
続いてはオンライン集客の方法です。オンライン集客手法は下記の10つになります。
- ポータルサイト掲載の工夫
ただ車を掲載するだけではなく、写真や説明文を工夫して掲載の質を高めることが大切です。 - ポータルサイトでの上位表示対策
掲載しても閲覧数が伸びない場合は、上位に表示されるための最適化を検討しましょう。 - 自社ホームページの構築
ポータルサイトだけに頼らず、自社の強みを打ち出すホームページを整備することが重要です。 - ランディングページ(LP)の活用
新車リースや自社ローンなど特定のニーズに応える商材は、LPと広告の組み合わせが効果的です。 - MEO対策(Googleマップ対策)
店舗型ビジネスにはGoogleビジネスプロフィールの最適化が欠かせません。 - 広告運用の強化
検索広告やディスプレイ広告などを活用し、多様なニーズを持つ消費者にリーチしましょう。 - SEO対策
時間はかかりますが、継続的にアクセスを得るには不可欠の施策です。 - ホームページのUI/UX改善
サイトは作って終わりではなく、使いやすさや問い合わせ導線を継続的に改善しましょう。 - YouTubeでの情報発信
カスタム車や趣味性の高い車種を扱う場合は、動画で魅力を伝えると効果的です。 - SNS投稿の活用
InstagramやX(旧Twitter)などを活用すれば、継続的な情報発信による集客が可能です。
詳しくはこちらの記事で開設しているので詳しく知りたい方はこちらの記事も併せて読んでみてください。

自動車販売店にとって、集客はゴールではなくスタート地点
集客から購入につなげるための工夫とは
自動車販売における集客方法を紹介しましたが、集客が成功したからといって必ずしも売上アップにつながるとは限りません。近年は来店前にオンラインで十分な情報を得られるため、実際に店舗を訪れても購入を即決しないケースが多く見られます。そのため、来店後に購入につなげる工夫が欠かせません。
自動車は高額な買い物であり、購入後も定期的なメンテナンスや維持費が発生します。顧客にとっては長く付き合う店舗になる可能性が高いため、「このお店なら安心して購入できる」と思ってもらえる信頼感の醸成が重要です。
具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
- 営業担当者によるわかりやすい車種・機能説明
- 顧客の予算や希望に寄り添った提案(必要に応じて購入以外の選択肢も提示)
- 子ども連れでも安心できるキッズスペースの設置
- 電話やメールへのスムーズな対応フローの整備
特に自動車販売では、来店時に即決せず後日に顧客が電話で相談や予約をするケースも多いため、問い合わせ対応の質が購入意欲を大きく左右します。集客後の「信頼づくり」が、成約率を高めるためのカギといえるでしょう。
自動車販売店の集客ならArchRise
自動車販売店の集客は、オンライン・オフライン双方での戦略を組み合わせ、顧客に「信頼できるお店」と感じてもらえる仕組みづくりが欠かせません。とはいえ、実際に集客施策を継続し成果につなげるのは容易ではなく、多くの販売店様が課題を抱えています。
ArchRiseでは、自動車業界ならではの集客の難しさを熟知し、ホームページ制作(作成)やSEO対策、WEB広告運用、MEO対策、さらにはオフライン施策のサポート等、企業の売り上げ増加等に関連する幅広い手段を組み合わせた最適な集客プランをご提案、提供しています。
「自社でもっと集客を強化したい」「どの施策に力を入れるべきかわからない」とお悩みの方は、ぜひArchRiseにご相談ください。業界の特性に寄り添った具体的な戦略で、集客から売上アップまでを力強くサポートいたします。
まとめ
自動車販売店・中古車販売店の集客は、オンラインとオフラインの両面で工夫することが求められます。
今回紹介したようにオンラインではSEOやWEB広告、SNS活用などによって来店前の顧客接点を増やし、オフラインではチラシやイベントといった地域密着の施策が依然として有効です。
また、単に集客数を増やすだけでなく、来店後に信頼感を持ってもらえる店舗づくりや対応も欠かせません。
業界の変化や顧客行動をふまえて、多角的な施策を組み合わせることが、安定した集客と売上につながります。