「ホームページを作ったものの、なかなか問い合わせにつながらない」
「繁忙期に向けて、即効性のある集客施策を検討したい」
このような悩みを抱えたとき、選択肢として挙がりやすいのがリスティング広告です。一方で、「クリックされるだけで広告費がかかるのではないか」「競合が多く、費用対効果が合わないのでは」といった不安から、導入に踏み切れない税理士の先生も少なくありません。
実際、戦略を持たずに「税理士」というキーワードだけで出稿してしまうと、短期間で予算を消化してしまうケースもあります。しかし、エリアや得意分野を明確にし、適切な設定と運用を行えば、リスティング広告は短期間で見込み度の高い顧客と接点を持てる有効な集客手段となります。
ただし、広告を出す前の準備も重要です。
他事務所との違いが分かる情報、具体的なサービス内容、お客様の声、アクセス方法など、ユーザーが判断材料とするコンテンツが不足している状態で配信を始めると、クリックはされても問い合わせにつながらず、費用対効果が下がってしまいます。広告は、ユーザーが求める情報が整ってはじめて成果を発揮します。
本記事では、税理士がリスティング広告を始める前に用意しておくべきWebサイトのコンテンツから、必要な予算感、成果につなげるためのキーワード設計や運用ポイントまでを分かりやすく解説します。
これからリスティング広告の導入を検討している方はもちろん、すでに運用しているものの思うような成果が出ていない方にとっても、課題解決のヒントとなる内容です。ぜひ最後までご覧ください。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、「検索連動型広告」とも呼ばれるWeb広告手法のひとつで、ユーザーがGoogleやYahoo!などの検索エンジンで入力したキーワードに応じて表示される広告を指します。検索結果ページの上部や下部に、主にテキスト形式で表示される点が特徴で、画像や動画を用いないケースが一般的です。
ユーザー自身が検索したキーワードを起点として広告が表示されるため、すでに課題やニーズが顕在化している層に対してアプローチできる点が大きな強みです。その結果、関心度の低いユーザーへ広く配信する広告と比べ、無駄の少ない集客が期待できます。
リスティング広告の仕組みとは
リスティング広告の料金体系には「クリック課金制」が採用されています。広告が検索結果に表示されるだけでは費用は発生せず、ユーザーが実際に広告をクリックした場合にのみ広告費が発生します。
1クリックあたりの費用(クリック単価)はキーワードごとに異なり、競合が多いキーワードほど高騰しやすい傾向があります。ただし、広告主は1回のクリックに対して支払う上限額(上限クリック単価)を設定できるため、予算を一定の範囲内でコントロールすることが可能です。
リスティング広告の掲載順位は、以下の考え方に基づいて決定されます。
広告ランク = 広告の品質 × 上限クリック単価
この「広告ランク」が高い広告ほど、検索結果の上位に表示される仕組みです。
「広告の品質」は、GoogleやYahoo!のアルゴリズムによって評価され、
・キーワードと広告文の関連性
・リンク先Webサイトの内容や使いやすさ
・想定されるクリック率
などの要素をもとに総合的に判断されます。
一方、「上限クリック単価」は広告主が任意で設定するもので、いくらまでなら支払ってもよいかという意思表示にあたります。リスティング広告ではオークション方式が採用されているため、単価を高く設定するほど上位表示されやすくなります。
この仕組みから、リスティング広告で上位表示を狙うには、単に入札額を上げるだけでなく、広告の品質を高めることが重要です。広告内容やWebサイトの改善を行いながら運用することで、費用を抑えつつ安定した成果を目指すことが可能になります。


税理士がリスティング広告を運用するメリット
税理士事務所がリスティング広告を活用することで、集客や認知拡大においてさまざまなメリットが期待できます。リスティング広告の特性を理解したうえで、事務所の方針やターゲットとする顧客層に合わせた広告戦略を設計することが重要です。
低予算から広告を出稿できる
テレビや新聞といったマスメディア広告、あるいはWeb上のバナー広告では、広告を掲載した時点で費用が発生するケースが一般的です。一方、リスティング広告はクリック課金制のため、広告が表示されただけでは費用はかかりません。実際にユーザーが広告をクリックした場合にのみコストが発生する仕組みとなっています。
そのため、広告費と成果が連動しやすく、費用対効果を意識した運用がしやすい点が特徴です。さらに、1日の広告予算を自由に設定でき、最低出稿金額の制約もないため、事務所の規模や状況に応じた柔軟な運用が可能です。まずは低予算でテスト配信を行い、成果を見ながら徐々に予算を拡大していくといった現実的な運用も行えます。
成果が出るまでの期間が比較的短い
リスティング広告は、配信を開始するとすぐに検索結果画面に表示されるため、集客までのスピードが速い点も大きなメリットです。SEO対策のように成果が出るまでに時間を要する施策と比べ、短期間で反応を得られる可能性があります。
そのため、独立開業直後で顧客数が少ない場合や、繁忙期前に集客を強化したい場合など、早期に問い合わせを増やしたいシーンで活用されるケースも多く見られます。もちろん、出稿すれば必ず成果が出るわけではありませんが、適切な運用を行えば短期間で効果を実感しやすい点は魅力といえるでしょう。
費用対効果をリアルタイムで把握できる
リスティング広告は即効性が高いだけでなく、成果を数値として可視化しやすい点も特徴です。チラシや看板広告の場合、掲載後すぐに効果を判断することが難しく、改善を行うまでに時間がかかるケースも少なくありません。
一方、リスティング広告では「表示回数」「クリック率」「コンバージョン率」などの指標を管理画面上でリアルタイムに確認できます。これらのデータをもとに広告文やキーワードを調整し、改善を重ねていくことで、より精度の高い広告運用が可能になります。
なお、コンバージョン率とは、広告をクリックしてWebサイトを訪れたユーザーのうち、「問い合わせ」や「申込み」など、設定した成果に至った割合を指します。
ターゲットを絞った広告展開が可能
マスメディア広告や看板広告は、不特定多数に向けて情報を発信するため、どうしても広告の無駄が生じやすくなります。チラシ広告についても、エリアや業種をある程度絞ることはできるものの、必ずしもニーズのある人に届くとは限りません。
その点、リスティング広告はユーザーの「検索行動」に連動して表示され、あらかじめ指定したキーワードにもとづいて配信されるため、特定の悩みやニーズを持ったユーザーに対してピンポイントで訴求しやすいという特徴があります。
ただし、キーワードの選定や広告内容が適切でない場合、見込み客に広告が届かず、かえって成果が出にくくなる可能性もあります。ターゲットを絞れるというメリットを活かすためにも、事前の設計と継続的な見直しが重要です。

税理士がリスティング広告を運用するデメリット
リスティング広告は即効性や費用対効果の高さが魅力である一方、運用方法を誤ると十分な成果が得られず、かえって広告費が負担となってしまうリスクもあります。そのため、メリットだけで判断するのではなく、あらかじめデメリットを理解したうえで、自事務所にとって最適な集客手段かどうかを検討することが重要です。
競合が多い場合は成果が出にくい
リスティング広告では、キーワードごとにクリック単価(CPC)が設定されており、競合が多いキーワードほど単価が高騰する傾向があります。
税理士業界では、「確定申告」「税務調査」「相続税」など、ニーズが集中しやすいキーワードが多く、同業他社との競争が激しくなりがちです。
こうしたキーワードで上位表示を狙う場合、上限クリック単価を引き上げる必要があり、広告費の負担も増加します。十分なコンバージョン率が確保できなければ、広告費ばかりがかかり、事務所の資金繰りを圧迫する要因になりかねません。
そのため、ビッグワードに固執せず、エリアや業務内容を組み合わせたキーワード設計が不可欠です。
広告を避けるユーザーが一定数存在する
リスティング広告は検索結果の上部に表示されますが、広告であることを理由にクリックを避けるユーザーも少なくありません。実際、検索結果画面では、広告枠よりも自然検索(オーガニック検索)の方が信頼されやすい傾向があります。
そのため、検索意図が明確なユーザーであっても、一定数は広告をクリックせず、通常の検索結果を選択する可能性がある点は理解しておく必要があります。
このような特性を踏まえ、リスティング広告だけに依存するのではなく、SEO対策と併用することで、即効性と安定性の両立を図る戦略も有効です。
継続的な調整と改善が欠かせない
リスティング広告は、一度設定して終わりではありません。同じ広告文やキーワードを長期間使い続けていると、クリック率や反応が徐々に低下していく傾向があります。加えて、ユーザーのニーズや検索行動も時間とともに変化するため、定期的な見直しが必要です。
効果を維持・改善するためには、配信データを分析し、キーワードや広告文、ランディングページの内容を調整していく作業が欠かせません。
「出稿すれば自動的に集客できる」という施策ではないため、一定の工数や運用コストが発生する点はデメリットとして認識しておきましょう。
知名度向上や潜在ニーズの掘り起こしには不向き
リスティング広告は、すでに課題や関心を持って検索しているユーザーにアプローチする点に強みがあります。一方で、事務所全体の知名度やブランド認知を高める目的には、相応の広告予算が必要となるため、効率的とはいえません。
また、「検索」という行動を起点とする広告手法である以上、ユーザー自身がまだ自覚していない潜在的なニーズを掘り起こす施策としては限界があります。
認知拡大や潜在層へのアプローチを目的とする場合は、SNS広告やコンテンツSEO、オフライン施策など、他の手法と組み合わせて検討することが重要です。
税理士がリスティング広告で成果を上げるためのポイント
リスティング広告で成果を出すためには、やみくもに広告を出稿するのではなく、成果に至るまでのプロセスを段階的に設計・検証していくことが重要です。
多くのユーザーの目に触れるだけでなく、その後の「問い合わせ」「相談」などの行動につなげることを目的として、広告の特性やターゲットのニーズを多角的に分析し、広告の精度を高めていきましょう。
キーワード選定をしっかり行う
リスティング広告において、最も重要な要素のひとつがキーワード選定です。
目的はクリック数を増やすことではなく、コンバージョン(問い合わせ・相談)を獲得することであるため、「税理士サービスを本当に必要としているユーザーだけがクリックする状態」を目指す必要があります。
キーワード設定が適切でない場合、クリック数は増えても問い合わせにつながらず、結果として広告費だけが消化されてしまいます。
そのため、まずは税理士を探しているユーザーの立場に立ち、
- どのような悩みを抱えているのか
- どんな言葉で検索しそうか
を具体的に想定することが重要です。
「税理士」「相続税」「確定申告」といったビッグワードは検索数が多い反面、競合も多く、コンバージョン率が低下しやすい傾向があります。
エリア名や得意分野を組み合わせるなど、需要と競合のバランスを考慮したキーワード設計が成果を左右します。
キーワード検討の際は、Googleの「キーワードプランナー」や「ラッコキーワード」などのツールを活用し、自事務所の強み・サービス内容・競合状況を踏まえて検証しましょう。
遷移先と一致した広告見出し・説明文を作成する
広告文と遷移先ページの内容にズレがあると、ユーザーは「求めていた情報ではない」と判断し、すぐに離脱してしまいます。
コンバージョン率を高めるためには、広告で訴求している内容と、LPやホームページの内容を一致させることが不可欠です。
リスティング広告のテキストには文字数制限があるため、広告文では要点を簡潔に伝え、詳細な説明は遷移先ページで行う構成が効果的です。
また、遷移先のLP自体の品質も重要です。
文章構成やコピー、視認性などを改善することで、同じ広告でもコンバージョン率が大きく変わるケースは珍しくありません。
広告表示オプションを活用する
リスティング広告には「広告表示オプション(アセット)」が用意されており、通常のテキスト広告では伝えきれない情報を追加表示できます。
これらを活用することで、広告の表示面積が広がり、クリック率や信頼性の向上が期待できます。
Google広告では、以下のようなオプションが用意されています。
- 住所表示オプション
- コールアウト表示オプション
- 電話番号表示オプション
- サイトリンク表示オプション
- 構造化スニペット表示オプション
- 価格表示オプション
- 画像表示オプション
- リードフォーム表示オプション
- プロモーション表示オプション など
税理士事務所の場合は、電話番号表示オプションや、複数ページへ誘導できるサイトリンク表示オプションが特に効果的です。
設定できるものは積極的に活用し、ユーザーが行動しやすい導線を整えましょう。
コンバージョンのハードルを下げる
成果を出すためには、ユーザーにとって行動しやすいゴール設定も重要です。
いきなり「有料相談の予約」や「契約」をコンバージョンとして設定すると、心理的ハードルが高くなり、成果が出にくくなります。
特に運用初期はコンバージョンデータが不足しやすく、改善のための分析も難しくなりがちです。
まずは、
- 無料相談
- 資料請求
- 問い合わせ
など、ユーザーが気軽に行動できるゴールを設定することで、コンバージョン率を高め、運用改善のためのデータを蓄積しやすくなります。
税理士がリスティング広告を始める前にWebサイトに用意しておくべきコンテンツ
リスティング広告で成果を出すためには、広告設定や運用テクニック以前に、受け皿となるWebサイトの内容が整っているかどうかが非常に重要です。
どれだけ広告を最適化しても、サイト上に必要な情報が不足していれば、問い合わせにはつながりません。
まずは、税理士がリスティング広告を始める前に、最低限用意しておきたいWebサイトのコンテンツを整理します。
事前に用意しておくべきWebサイトのコンテンツ一覧
| コンテンツ | 目的 |
|---|---|
| 他の税理士事務所と異なる点 | 他事務所と比較した際の強みを伝え、「この事務所を選ぶ理由」を理解してもらう |
| サービスの内容と価格 | 提供サービスを明確にし、必要な予算感を把握してもらう |
| お客様の声 | サービスの疑似体験を通じて不安を払拭し、信頼感を高める |
| 事務所へのアクセス方法 | 訪問・来社が可能な距離かどうかを判断してもらう |
ここからは、なぜこれらのコンテンツが重要なのかを解説します。
これまで100社以上の広告運用に携わってきた経験から断言できますが、コンテンツが不足している状態では、どれだけ運用に時間をかけても大きな成果は出にくいのが現実です。
極端な言い方をすれば、運用が多少未熟でもコンテンツが充実していれば、一定数のコンバージョンは獲得できます。
逆に、広告運用のテクニックだけに注力し、
- 強みが分からない
- サービス内容が曖昧
- 実績や安心材料がない
といった状態のまま配信を始めてしまうと、クリックはされても問い合わせにはつながらず、広告費だけが消化されてしまいます。
そのため私は、小手先の運用テクニックよりも、まずはWebサイト上のコンテンツを整えることの方が圧倒的に重要だと考えています。
もし現時点で「説明できる情報が足りない」「自信を持って見せられるページがない」と感じる場合は、広告配信を始める前に、これらのコンテンツを優先的に作成・充実させることを強くおすすめします。
他の税理士事務所と異なる点
税理士事務所は数が多く、ユーザー目線で見ると「どこも同じに見えてしまう」のが実情です。
そのため、リスティング広告で集客を行う場合は、「なぜこの事務所を選ぶ必要があるのか」が一目で伝わるコンテンツを用意することが欠かせません。
特に、はじめて税理士を探すユーザーにとっては専門性の違いが分かりづらく、判断基準を持てないケースがほとんどです。
そこで重要になるのが、「なぜ選ばれているのか」を明確に言語化することです。
例えば、以下のような切り口が考えられます。
- 特定の業種に関する知見が深い
- 若手中心でITに強く、クラウド会計ソフトへの対応が得意
- とにかく実績が豊富で安心感がある
- 料金体系が明確で、価格が比較的安い
このように、他の税理士事務所と異なる点を整理し、まとめた専用ページを作成することをおすすめします。
よほど知名度のある大手事務所であれば「税務のことは何でもお任せください」といった広い訴求でも問題ありませんが、そうでない場合は、得意分野や強みを絞らなければユーザーから選ばれにくくなります。
「誰に向けた事務所なのか」を明確にすることが、問い合わせ増加につながります。
サービスの内容と価格
決算・確定申告、相続税申告など、対応しているサービス内容と価格を明確に説明したページを用意しましょう。
理想的なのは、1サービスにつき1ページで完結する構成です。
この構造にしておくことで、リスティング広告において
- キーワード
- 広告文
- リンク先ページ
の関連性を高めることができ、結果として広告の成果が向上しやすくなります。
たとえば「相続税 相談」「確定申告 税理士」といったキーワードごとに、対応する専用ページをリンク先に設定できるため、ユーザーの期待とページ内容のズレを防ぐことができます。
また、価格は目安で構わないので必ず掲載しておくことをおすすめします。
問い合わせをしないと費用感がまったく分からない状態だと、「面倒そう」「あとでいいや」と判断され、他の税理士事務所へ流れてしまうユーザーが一定数存在します。
お客様の声
実際に契約に至ったお客様を事例として掲載するページを用意しましょう。
お客様の声は、サービスを利用したあとのイメージを疑似体験できるコンテンツであり、問い合わせを後押しする重要な要素です。
事例の数は多ければ多いほど望ましいですが、ひとつの目安として12件程度を目標にするとよいでしょう。
WACUL社の調査「SaaSを扱うB2Bサイトにおける事例紹介ページの改善策の提言」では、事例コンテンツが12件未満の場合、ユーザーがサービスに不安を感じやすいと報告されています。
ただし注意点として、単に数を集めるだけでは効果は限定的です。
- どのような課題があったのか
- どんな支援を行ったのか
- 費用感はどれくらいだったのか
- なぜその事務所を選んだのか
- 契約中に良いと感じたポイント
など、問い合わせ前のユーザーが知りたい情報が具体的に伝わる内容にすることが重要です。
形式的なコメントを並べるだけにならないよう注意しましょう。
事務所へのアクセス方法
税理士業務では、訪問や来社など対面での打ち合わせが発生するケースも少なくありません。
そのため、事務所へのアクセス方法が分かるページを用意し、「通いやすいか」「相談しやすい距離か」を判断できるようにしておきましょう。
- ◯◯駅から徒歩◯分
- 主要駅からの所要時間
といった情報を記載しておくと、ユーザーにとって親切です。
もしアクセスがあまり良くない立地の場合は、
- オンライン面談対応
- リモート相談可能
といった点を明記し、距離がネックにならないことをしっかり伝えることをおすすめします。
問い合わせ数を増やしたいなら無料相談申込みページがおすすめ
これは私自身が税理士や弁護士を探した際の実体験ですが、条件や実績が魅力的でも、最初から有料相談の事務所には問い合わせしづらいと感じることが多くありました。
すでに問い合わせが殺到しており、選別したい状況であれば有料相談でも問題ありません。しかし、
「まずは問い合わせ数を増やしたい」
「認知を広げたいフェーズにある」
という場合には、無料相談の申込みページを用意することを強くおすすめします。
コンバージョンのハードルを下げることで、リスティング広告の成果は大きく変わります。
税理士がリスティング広告にかける予算の計算方法
ここからは、税理士がリスティング広告を運用するうえで必要となる広告予算の考え方と算出方法について解説します。
算出方法はいくつかありますが、ここでは「月間で獲得したい成約数」から逆算して予算を算出する方法を紹介します。
この考え方を押さえておけば、「なんとなく予算を決めて運用する」といった失敗を防ぎやすくなります。
ぜひ、ご自身の事務所の数字に置き換えながら読み進めてみてください。
予算算出の流れ
- 月間でほしい受注数を確認する
- 問い合わせからの成約率をもとに、必要なコンバージョン数を算出する
- コンバージョン数 × コンバージョン単価で必要な広告予算を出す
1. 月間でほしい受注数を確認する
まずは、月間で何件の成約を獲得したいのかを明確にします。
今回は例として、「月5件の成約」を目標に設定して進めます。
もし月単位で目標が決まっていない場合は、
- 年間の成約目標
- 繁忙期・閑散期のバランス
などを考慮し、年間目標から月間目標へ落とし込むとよいでしょう。
2. 問い合わせからの成約率をもとに、必要なコンバージョン数を算出する
次に、問い合わせから成約に至る割合(成約率)を確認します。
過去のデータがあれば、以下の計算式で算出できます。
成約率 = 成約数 ÷ 問い合わせ数
今回は例として、成約率を20%と仮定します。
この場合、
- 月5件の成約を獲得するためには
- 5件 ÷ 20% = 25件の問い合わせ
が必要になります。
つまり、リスティング広告では「月25件の問い合わせ獲得」を目標に設定することになります。
3. コンバージョン数 × コンバージョン単価で必要な予算を算出する
最後に、算出した目標コンバージョン数(問い合わせ数)と、
1件あたりのコンバージョン単価(CPA)を掛け合わせて、月額の広告予算を算出します。
コンバージョン単価は、
- エリア(都市部か地方か)
- 競合の多さ
- Webサイト・LPの完成度
などによって大きく変動しますが、
私の運用経験とクリック単価の相場を踏まえると、税理士の場合は1件あたり約3万円前後がひとつの目安になります。
※実際には事務所の状況を詳しく確認したうえで算出すべき数値ですので、あくまで参考値としてご覧ください。
これをもとに計算すると、
25件(目標コンバージョン数)
× 30,000円(コンバージョン単価)
= 750,000円
となり、月額約75万円の広告予算が必要という試算になります。
税理士がリスティング広告で成果を出すために最低限やるべき設定内容
ここからは、税理士がリスティング広告で成果を出すために、最低限押さえておくべき設定内容について解説します。
結論から言えば、「成約につながりやすい検索語句にだけ広告を表示し、無駄なクリックを極力発生させない」ことが最も重要です。
また、設定を行って配信したら終わりではありません。
実際の成果は、配信後に検索語句を確認しながら、キーワードの追加・停止・除外を継続的に行えるかどうかで大きく差が出ます。
「税理士 × サービス名 × エリア」のキーワードを必ず登録する
これまでの運用経験から、最もコンバージョンにつながりやすいのは「税理士 × サービス名 × エリア」で構成されたキーワードです。
たとえば商圏が名古屋の場合、登録すべきキーワードは次のようになります。
| サービス名 | 登録するキーワード例(名古屋が商圏の場合) |
|---|---|
| 税理士 | 税理士 名古屋 |
| 確定申告 | 確定申告 税理士、確定申告 税理士 名古屋 |
| 相続 | 相続 税理士、相続 税理士 名古屋 |
これらは「今すぐ税理士に依頼したい」と考えているユーザーが検索する語句であり、最優先で設定すべきキーワードです。
キーワードのマッチタイプについては、最初は完全一致とフレーズ一致のみで開始することをおすすめします。
部分一致は検索語句が大きく拡張されやすく、情報収集段階のユーザーや対応外サービスの検索にも広告が表示されやすいため、費用対効果が悪化しやすい傾向があります。
まずは完全一致・フレーズ一致で成果が出ているキーワードを見極め、そのうえで実績が確認できたものだけを部分一致に広げていくのが、安全かつ効率的な進め方です。
成約につながらない検索語句は除外キーワードに登録する
検索している時点で依頼につながらないと判断できる語句は、除外キーワードとして必ず登録しましょう。
除外キーワードとは、特定の語句を含む検索では広告を表示させないための設定です。
特にフレーズ一致や部分一致を使用している場合、除外を行わないと意図しない検索語句でクリックされ、広告費だけが消化されてしまいます。
税理士広告で、あらかじめ除外しておきたい代表的な語句は以下のとおりです。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 求人系 | 求人、採用 |
| 情報収集 | とは、意味 |
| 条件比較 | 年収、給料 |
| 地域外 | 商圏外のエリア名 |
| 非対応 | 対応していないサービス名 |
これらは検索数が多いため、運用開始時点で除外しておくことを推奨します。
また、配信開始から最低でも1〜2週間は毎日検索語句を確認し、意図しない語句でクリックされていないかをチェックしてください。
検索語句は、Google広告では「検索語句」、Yahoo!広告では「検索クエリー」から確認できます。
なお、登録したキーワードと実際にユーザーが検索した語句は一致しないケースがある点に注意が必要です。
サービス内容に合わせたリンク先を指定する
キーワードの検索意図と、広告のリンク先ページが一致しているかどうかは、コンバージョン率に大きく影響します。
たとえば次のように、キーワードごとに遷移先を切り替えることで成果改善が見込めます。
| キーワード | 推奨リンク先 |
|---|---|
| エリア名 × 税理士 | トップページ |
| 税理士 × 確定申告 | 確定申告サービスページ |
| 税理士 × 相続 | 相続税申告サービスページ |
広告では「広告の関連性」が重要な評価指標となっており、キーワード・広告文・リンク先の整合性が高いほど、クリック単価が下がり、表示されやすくなります。
可能であれば、1サービスにつき1ページを用意する構成が理想的です。
広告見出しにキーワードとサービス名を必ず入れる
リンク先だけでなく、広告見出しも検索キーワードと一致させることが重要です。
これは、広告評価指標の一つである「ランディングページの利便性(広告との関連性)」に影響するためです。
たとえば、以下のような見出しが考えられます。
| キーワード | 広告見出し例 |
|---|---|
| エリア名 × 税理士 | エリア名の税理士をお探しなら |
| 税理士 × 確定申告 | 確定申告を任せられる税理士 |
| 税理士 × 相続 | 相続税申告に強い税理士 |
説明文については見出しほど厳密である必要はありませんが、検索語句と関連した内容を入れておくことで、広告全体の整合性が高まります。
配信エリアは「対応可能な範囲」に限定する
基本的な設定ですが、対応できない地域には広告を配信しないようにしましょう。
Google広告では、特定の住所から半径◯kmといった形で地域設定が可能ですので、訪問や対応が現実的な距離を基準に設定します。
なお、事務所が複数ある場合は、キャンペーンを分けてそれぞれの対応地域を設定してください。地域設定はキャンペーン単位でのみ行えます。
広告表示オプションを必ず設定する
広告表示オプションは、クリック率の向上やクリック単価の低下につながる重要な設定です。
基本的に設定してデメリットはありません。
特に税理士広告では、電話番号表示オプションは必須といえます。
スマートフォンからワンタップで電話できるようになるため、問い合わせの心理的ハードルが下がり、結果として問い合わせ数の増加につながりやすくなります。
税理士がリスティング広告を任せる代理店の選び方
ここからは、リスティング広告を代理店に任せるかどうか検討している税理士の方向けに、代理店選びで特に意識してほしいポイントを解説します。
一般的な代理店選定の基準については別の記事で詳しく触れるため、ここでは「税理士が選ぶ」という視点に絞って整理します。
結論からお伝えすると、税理士案件の運用経験があり、かつ実際に税理士へ依頼した経験を持つ担当者が在籍している代理店であれば、優先的に検討する価値があります。
税理士案件の運用経験がある担当者が在籍しているか
まず確認したいのは、税理士案件のリスティング広告を実際に運用した経験がある担当者が在籍しているかどうかです。
リスティング広告は業種によって成果につながりやすいキーワードや検索意図に明確な偏りがあり、税理士業界も例外ではありません。
・税理士案件の運用経験がある担当者であれば、
・どのキーワードが問い合わせにつながりやすいか
・逆に、どの検索語句が無駄なクリックになりやすいか
といった感覚をある程度把握しています。
そのため、ゼロから手探りで運用する必要がなく、初動から成果が出るまでのスピードが早くなりやすい点は大きなメリットです。
「経験がある=必ず成果が出る」と断言できるものではありませんが、少なくとも失敗を避けやすい状態でスタートできると考えてよいでしょう。
実際に税理士へ依頼した経験がある担当者であれば理想的
さらに理想的なのは、広告運用の経験だけでなく、実際に税理士へ依頼したことがある担当者が運用を担当してくれるケースです。
このような担当者であれば、検索時の不安や比較ポイント、問い合わせに至るまでの心理的ハードルを実体験として理解しています。
その結果、
・ユーザーの視点を反映した広告文の作成
・問い合わせにつながりやすいキーワード設計
・不安を和らげる訴求ポイントの整理
といった点で、机上の理論だけでは出てこない工夫が期待できます。
私自身の考えとしても、ユーザー心理は実際に体験してみなければ本質的には理解しづらいものだと感じています。
その意味で、税理士に依頼した経験を持つ担当者が運用を行うことは、大きな強みになるといえるでしょう。
税理士からリスティング広告運用でよくいただく質問
最後に、税理士の方からリスティング広告運用について実際によくいただく質問を紹介します。
運用を検討している方や、すでに配信しているものの判断に迷っている方は、気になる項目を確認してみてください。
リスティング広告はいくらから始められますか?
リスティング広告には最低出稿金額の決まりがなく、少額からでもスタートできます。
テレビ広告や新聞広告のように「掲載するだけで費用が発生する」ものとは異なり、1日単位で予算の上限を設定できる点が特徴です。
そのため、「まずは月額3万円程度でテスト運用をしてみる」といった始め方も可能です。最初から大きな予算を投下する必要はなく、実際の成果を確認しながら、徐々に予算を増やしていく進め方がおすすめです。
「税理士」というキーワードはクリック単価が高いと聞きました。
おっしゃる通り、「税理士」という単体キーワードは競争率が高く、クリック単価が高騰しやすい傾向があります。
そのため、いきなりこのビッグワードに絞って出稿するのは得策とは言えません。
実際の運用では、「税理士+地域名(例:港区)」や「税理士+悩み(例:相続税申告 期限)」といった、検索意図を絞り込んだキーワードを狙うことが重要です。
こうしたロングテールキーワードを活用することで、無駄な広告費を抑えつつ、依頼意欲の高いユーザーに効率よくアプローチできます。
SEO対策(検索上位表示)と何が違うのですか?
最大の違いは、成果が出るまでのスピード、いわゆる即効性です。
SEO対策は効果が表れるまでに数ヶ月から、場合によっては年単位の時間がかかることもあります。
一方、リスティング広告は審査に通過すれば、その日から検索結果の上位に広告を表示させることができます。そのため、開業直後で早く問い合わせを増やしたい場合や、確定申告前など短期間で集客が必要なタイミングでは、リスティング広告の方が有利です。
理想的なのは、短期的な集客はリスティング広告、長期的な安定集客はSEO対策といった形で、目的に応じて使い分けることです。
自分で運用するか、代理店に頼むか迷っています。
判断の基準は、予算と確保できる時間のバランスです。
ご自身で運用すれば代理店への手数料はかかりませんが、キーワード選定や数値分析、改善作業に相応の時間と労力が必要になります。
一方で代理店に依頼する場合は、広告運用のノウハウを活用できる反面、広告費とは別に運用代行費が発生します。相場としては、広告費の20%前後、もしくは固定費制で設定されているケースが一般的です。
まずは少額で自分自身が仕組みを理解し、その後、予算拡大や業務負担が増えてきた段階で外注を検討する、という進め方も一つの現実的な選択肢といえるでしょう。
自社の事務所名キーワードは入れたほうがいいですか?
基本的には、自社の事務所名をキーワードとして登録することをおすすめしています。
理由としては、他の税理士事務所や広告代理店が、事務所名で出稿しているケースが一定数あるためです。その場合、自社名で検索したユーザーが、他事務所の広告をクリックしてしまう可能性があります。
また、事務所名キーワードはクリック単価が非常に低いことが多く、数十円程度で済むケースも珍しくありません。
コスト負担が小さい一方で、機会損失を防げる点を考えると、リスクと費用を天秤にかけた場合、出稿しておく方が合理的だと判断しています。
ただし、すでに知名度の高い事務所の場合は例外となることもあります。
事務所名が業種名に近いワードとして認識されている場合、他の広告主と競合し、クリック単価が高騰するケースがあるためです。そのような場合は、実際の単価や成果を確認したうえで判断するとよいでしょう。
地名ワードはどこまで細かく入れればいいですか?
基本的には、市区町村のうち「市」単位までで問題ありません。
フレーズ一致や部分一致を使用していれば、類似した検索語句にも広告が表示されるため、町名や丁目単位まで細かく設定する必要性は低いと考えています。
ただし、より細かいエリアでの集客を重視したい場合や、不安がある場合には、エリア名のみを部分一致で追加したり、区名や町名との掛け合わせを補足的に設定する方法もあります。
対応エリアが広い場合は、すべての地名を登録しようとすると管理が煩雑になりがちです。そのため、まずは市名を部分一致で登録し、検索語句を確認しながら拡張の範囲に問題がないか検証していく進め方がおすすめです。
上位表示は狙ったほうがいいですか?
運用開始直後は、無理に上位表示を狙う必要はないと考えています。
広告予算にもよりますが、基本的にはクリック単価を抑えながらクリック数を増やす方が、結果として問い合わせ数の増加につながるケースが多いためです。
そのため、最初は入札を抑えめに設定し、費用対効果を見ながら調整する運用が現実的でしょう。
一方で、税理士を探しているユーザーの中には、多少費用がかかっても早く依頼先を見つけたい層も存在します。そのようなユーザーは、検索結果の上位に表示されている広告を優先的にクリックする傾向があるため、上位表示によってコンバージョン率や顧客の質が向上するケースもあります。
そのため、問い合わせ数だけでなく、成約率や顧客の質も含めて検証しながら、どの表示位置が最適かを見極めていくことが重要です。
税理士のリスティング広告ならArchRise
税理士向けのリスティング広告運用を検討する際には、「広告を配信すること」そのものではなく、「問い合わせや受注につながる仕組みをどう作るか」という視点が欠かせません。
ArchRiseでは、単にキーワードを設定して広告を出すだけでなく、税理士事務所の強みや対応サービス、地域特性を踏まえたうえで、成果につながる全体設計を重視した広告運用を行っています。
リスティング広告は、キーワード選定や除外設定、広告文とリンク先ページの整合性など、初期設計の質によって成果が大きく左右されます。ArchRiseでは、税理士業界特有の検索ニーズやユーザー心理を踏まえ、無駄なクリックを抑えながら、相談・問い合わせにつながりやすい設計を行うことを重視しています。
まとめ
税理士がリスティング広告で成果を出すためには、単に広告を出稿するだけでは不十分です。
キーワード選定やマッチタイプの設定、除外キーワードの管理、広告文とリンク先ページの整合性など、細かな設計と継続的な改善が成果を大きく左右します。
また、広告運用以前に、事務所の強みやサービス内容、価格、実績といった情報がWebサイト上で適切に整理されていなければ、いくら広告費をかけても問い合わせにはつながりにくくなります。
リスティング広告は、あくまで「見込み客を連れてくる手段」であり、その受け皿となるコンテンツの質が重要です。
即効性のある集客を実現できる一方で、競合や費用対効果と常に向き合う必要があるのがリスティング広告の特徴でもあります。
だからこそ、自社で対応できる範囲と外部に任せるべき範囲を見極めながら、無理のない形で運用を進めることが大切です。
本記事で紹介した考え方や運用ポイントを参考に、自社の状況に合った広告戦略を設計し、安定した集客につなげていきましょう。

