リターゲティング広告とは?メリット・デメリットから具体的な配信設計まで解説

リターゲティング広告とは、一度Webサイトやオンラインストアを訪問したユーザーに対して、再度広告を配信できるターゲティング手法です。検討段階で離脱したユーザーに継続的にアプローチできるため、コンバージョン率の向上や広告費の効率化が期待できます。

「リターゲティング広告はどのような仕組みで配信されるのか」「どのようにリストを作成し、設定すれば成果が出るのか」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。実際、成果を左右するのは配信リストの設計と媒体ごとの正しい設定方法です。

本記事では、リターゲティング広告の仕組みや特徴、メリット・注意点に加え、媒体別の実施手順やミスしやすいポイント、さらにCookie規制の影響まで詳しく解説します。基礎から実践まで体系的に理解できる内容となっていますので、広告効果を最大化したい方はぜひ最後までご覧ください。

目次

リターゲティング広告とは

リターゲティング広告とは、一度Webサイトやオンラインストアを訪問したユーザに対して、ページ離脱後も継続的に広告を配信する広告手法です。ユーザがサイトを離れた後も接触を続けることで、ブランドや商品を想起させ、購入や問い合わせといったアクションを後押しできます。すでに一定の関心を示しているユーザに配信できるため、費用対効果の高い施策として活用されています。

リターゲティング広告は、リスティング広告やディスプレイ広告におけるターゲティング機能の一種であり、Googleでは「リマーケティング」、Yahoo!では「サイトリターゲティング」と呼ばれています。本記事では名称を「リターゲティング」に統一して解説します。
配信面としては、Googleディスプレイネットワーク(GDN)やYahoo!ディスプレイ広告(YDA)などのネットワークを通じ、提携サイトやアプリなど幅広い媒体に広告を表示することが可能です。

リターゲティング広告の基本的な仕組み

リターゲティング広告は、過去にWebサイトを訪問したユーザを識別し、その後も広告を表示することで再訪やコンバージョンを促す仕組みです。

この仕組みは、ユーザがリターゲティング用タグが設置されたページを訪問した際に、ブラウザへ「Cookie」と呼ばれる小さなデータファイルを保存することで成り立っています。Cookieに保存された情報をもとに、特定の行動をとったユーザを分類し、リターゲティングリストを作成します。そして、そのリストに対して広告を配信します。

ここからは、タグ・Cookie・リターゲティングリストそれぞれの役割について解説します。

タグとは

リターゲティング広告を実施するには、各広告媒体が提供するリターゲティング用タグを自社サイトに設置する必要があります。ユーザがタグの埋め込まれたページにアクセスするとタグが発火し、ブラウザにCookieが付与されます。

タグは、リターゲティング対象としたいページすべてのヘッダ部分に設置するのが一般的です。設置漏れがあると正確なリストが作成できないため、導入時はページ構成を整理したうえで実装することが重要です。

Cookieとは

Cookieとは、ユーザがWebサイトを訪問した際にデバイスへ保存されるテキスト形式のデータです。閲覧したページやクリック履歴などの情報が記録され、サイトの利便性向上や広告のパーソナライズ、アクセス解析などに活用されます。

リターゲティング広告では、このCookie情報をもとに「過去に特定ページを閲覧したユーザ」「カートに商品を追加したが購入しなかったユーザ」などを識別し、再アプローチを行います。

リターゲティングリストとは

リターゲティングリストとは、過去にサイトを訪問したユーザの中から、特定条件に合致するユーザを抽出して作成する配信対象リストです。条件の例としては、閲覧ページ、滞在時間、フォーム送信の有無、カート追加の有無などが挙げられます。

媒体ごとに設定できるセグメントは異なりますが、ユーザの行動履歴に応じて細かくリストを分けることで、よりパーソナライズされた広告配信が可能になります。たとえば「商品詳細ページ閲覧者」と「カート離脱者」では、訴求内容を変えることで成果を最大化できます。

リターゲティング広告は、単に再表示するだけでなく、リスト設計次第で成果が大きく変わる施策です。次章では、配信できる媒体や具体的な活用方法について詳しく解説していきます。

リターゲティング広告が配信できる媒体

リターゲティング広告は、複数の広告媒体で実施することが可能です。媒体ごとに配信面やターゲティングの特徴、強みが異なるため、自社の商材やターゲットに合わせて選定することが重要です。

以下に、代表的な媒体とその特徴をまとめます。

媒体特徴
Googleディスプレイネットワーク(GDN)・Googleと提携する200万以上のサイトに配信可能
・特定のサイト、YouTube動画、アプリなどを指定して配信できる
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)・Yahoo!トップページや提携法人サイトに配信可能
・検索履歴を活用したサーチターゲティングが可能
各種SNS広告(Facebook/Instagram/LINEなど)・タイムラインやフィードに自然に表示される
・いいね、シェアなどにより拡散の可能性がある
Criteo・Google、Yahoo!、Facebook、Instagramなどへ横断配信可能
・独自アルゴリズムによる高精度配信
・動的クリエイティブ最適化に強み

Googleディスプレイネットワーク(GDN)

GDNは、Googleと提携する200万以上のWebサイトやアプリ、YouTubeなどに広告を配信できるネットワークです。配信ボリュームが非常に大きく、リターゲティングとの相性も良い媒体です。

また、特定のサイトやYouTubeチャンネルを指定して配信することも可能なため、ブランドイメージをコントロールしながら運用できます。

Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)

YDAは、Yahoo!トップページやニュース面、提携サイトに広告を表示できます。国内ユーザーへのリーチ力が高く、日本市場向けの商材と相性が良い媒体です。

特徴のひとつとして、検索履歴をもとにしたサーチターゲティングが可能であり、検索行動と組み合わせたリターゲティング戦略が取れます。

各種SNS広告(Facebook/Instagram/LINEなど)

SNS広告では、ユーザーのタイムラインやフィード上に広告が表示されるため、通常のバナー広告よりも広告感が薄く、自然に接触できます。

また、ユーザーによるいいねやシェアなどで拡散される可能性もあり、リターゲティングだけでなく認知拡大にもつながるケースがあります。ビジュアル訴求が強い商材や、BtoC向けサービスと相性が良い媒体です。

Criteo

Criteoは、リターゲティングに特化した広告配信プラットフォームです。GoogleやYahoo!、Facebook、Instagramなど複数媒体に横断的に配信できる点が強みです。

独自のアルゴリズムによって、ユーザーごとに最適な商品を自動表示する動的広告配信に優れており、ECサイトとの相性が特に高い媒体です。

このように、リターゲティング広告は媒体ごとに配信面や強みが異なります。ターゲット層や商材特性、予算規模を踏まえたうえで、適切な媒体選定を行うことが成果最大化の鍵となります。

リターゲティング広告に向いている商材・サービス

リターゲティング広告は、「一度の接触では購入に至りにくい商材」と相性が良い広告手法です。比較検討期間が長い、価格帯が高い、選択肢が多いといった特徴を持つ商材ほど、再接触による後押し効果が期待できます。

Eコマース製品

Eコマース商材は、色・サイズ・型番などの選択肢が多く、ユーザーが複数の商品を比較検討してから購入する傾向があります。そのため、サイト離脱後も継続的に広告を表示することで、再訪問や購入につなげやすい特徴があります。

たとえば、ファッション、家電製品、化粧品・美容品などは代表例です。特にカート放棄ユーザーに対するリターゲティングは、高いコンバージョン率が見込めます。

高級商材

高価格帯の商品やサービスは、衝動買いではなく慎重な意思決定が行われます。1回の訪問だけで購入に至るケースは少なく、情報収集や比較を重ねたうえで最終決定されます。

そのため、リターゲティング広告によって継続的に接触し、ブランド想起を維持することが重要です。具体的には、高級時計、高級車、不動産、高級家具などが該当します。

BtoB商材

BtoB商材は、導入までに複数の担当者や決裁者が関与するため、検討期間が長期化しやすい傾向があります。また、資料請求や問い合わせ後に社内検討が行われるケースも多いです。

リターゲティング広告を活用すれば、検討期間中に継続的にブランド接触を図ることができ、最終的な意思決定の場面で候補として残りやすくなります。ソフトウェア、ネットワーク機器、コンサルティングサービスなどが代表例です。

リターゲティング広告が実施できない可能性がある商材・サービス

一方で、ポリシー上の制限により、リターゲティング広告が制限または禁止される可能性のある商材も存在します。

コンプレックスに関わる美容系・医療系商材

身体的特徴や健康状態など、個人のセンシティブな属性に関わる商材は、媒体ポリシー上「個人の特性を特定する広告」と判断される可能性があります。

たとえば、小顔ローラーや育毛剤などは、「特定の身体的コンプレックスを指摘している」とみなされる場合があり、配信制限や不承認となるケースがあります。

個人の財産・経済状況に関わる商材

借金、ローン、債務整理など、個人の金銭的状況に関連する商材も、センシティブカテゴリーとして扱われる可能性があります。

こうした商材は、「経済的困窮状態を推測している」と判断されると、リターゲティング広告が制限されることがあります。

リターゲティング広告を実施する際は、各媒体の広告ポリシーを必ず確認し、自社商材が制限対象に該当しないかを事前にチェックすることが重要です。特に医療・金融系の商材は慎重な対応が求められます。

ターゲティング広告との違い

ターゲティング広告とは、年齢・性別・地域・興味関心など、あらかじめ設定した属性条件に基づいて広告を配信する手法です。ユーザーのデモグラフィック情報や行動履歴をもとに、「この層に届けたい」という対象を定めて配信できるのが特徴です。

一方で、リターゲティング広告はターゲティング広告の一種に位置づけられます。最大の違いは、「過去に自社サイトへ訪問したことがあるユーザー」に限定して配信する点です。

つまり、通常のターゲティング広告が「まだ接点のない見込み層」に広くアプローチするのに対し、リターゲティング広告は「すでに接点のあるユーザー」に再度アプローチする施策です。前者が新規獲得の入口を担うのに対し、後者は取りこぼし防止やCVR向上を担う役割を持っています。

リマーケティング広告との違い

機能としてはほぼ同じですが、媒体によって名称が異なります。

Google広告では「リマーケティング広告」、Yahoo!広告では「サイトリターゲティング広告」、FacebookやInstagram、Criteoなどでは「リターゲティング広告」と呼ばれています。

呼び方は異なりますが、「過去に接触したユーザーへ再度広告を配信する」という仕組みは共通です。本記事では総称として「リターゲティング広告」に統一しています。

リターゲティング広告の課金方式

リターゲティング広告には主に2つの課金方式があります。

インプレッション課金

広告が1,000回表示されるごとに料金が発生する方式です。表示回数に基づいて費用が決まるため、認知拡大を目的とする場合に適しています。配信量をコントロールしやすく、予算設計がしやすい点がメリットです。

ただし、クリックされなくても費用は発生するため、ターゲティング精度やクリエイティブの質が低い場合、費用対効果が悪化する可能性があります。

クリック課金

広告がクリックされた回数に応じて料金が発生する方式です。クリックされなければ費用は発生しないため、無駄な広告費を抑えやすいのが特徴です。

クリック単価はオークション形式で決まり、競合が多い商材や配信面では高騰する傾向があります。コンバージョンを重視する場合は、クリック後の導線設計やLP改善も重要になります。

いずれの課金方式でも、1日あたりの広告費上限を設定できるため、想定以上に予算を消化してしまうリスクはコントロール可能です。目的やKPIに応じて最適な課金方式を選択することが、成果最大化の鍵となります。

リターゲティング広告が配信できるプラットフォーム

リターゲティング広告は、多くの広告媒体で対応しています。ただし、媒体ごとにリーチできるユーザー層や強み、保有データの種類が異なるため、自社商材に適したプラットフォーム選定が重要です。

ここでは、主要な媒体とその特長を紹介します。

Googleディスプレイネットワーク(GDN)

Googleが提供するGoogleディスプレイネットワーク(GDN)は、GmailやYouTubeだけでなく、世界200万以上のWebサイトやアプリに広告を掲載できます。圧倒的な配信ボリュームがあり、幅広いユーザー接触が可能です。

【媒体特有のセグメントの例】
・既存顧客と類似した属性を持つ類似ユーザー
・購買意欲の高いユーザー(インテントデータ)

検索データと連携できる点も強みで、検索広告と組み合わせることで効果を最大化できます。

Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)

Yahoo! JAPANが提供するYahoo!ディスプレイ広告(YDA)は、国内トップクラスのリーチを誇ります。Yahoo!トップページや提携メディアに配信でき、日本市場に特化したターゲティングが可能です。

【媒体特有のセグメントの例】
・Yahoo! JAPAN IDのログイン情報に基づく高精度ユーザー情報
・直近の検索・閲覧行動に基づいたリアルタイムターゲティング

国内向け商材や中高年層向けサービスとの相性が良い媒体です。

LINE広告

LINEは国内で非常に高いアクティブユーザー数を誇るコミュニケーションアプリです。日常利用頻度が高く、接触回数を確保しやすい点が強みです。

【媒体特有のセグメントの例】
・LINE公式アカウントの友だち
・特定スタンプやゲーム利用などのアプリ内行動データ

店舗ビジネスや来店促進型商材との相性が良い傾向にあります。

Meta社:Facebook広告

Facebook広告は実名登録制という特性を活かし、詳細な属性ターゲティングが可能です。カルーセル広告や動画広告など、多様なフォーマットに対応しています。

【媒体特有のセグメントの例】
・過去の購買行動データ
・学歴、職種、交際ステータスなどの詳細属性

BtoB商材や高単価商材との相性が良い媒体です。

Meta社:Instagram広告

Instagram広告は、ビジュアル重視の商材に適しています。Facebookと同一の広告管理画面で運用できるため、連携がスムーズです。

【媒体特有のセグメントの例】
・特定ハッシュタグに興味を持つユーザー
・投稿へのいいねやコメントなどのエンゲージメントユーザー

アパレル、美容、旅行などの商材と相性が良い傾向があります。

Criteo

Criteoはリターゲティング広告に特化したプラットフォームで、特にECサイトで高い効果を発揮します。閲覧商品データをもとに、動的に広告クリエイティブを生成します。

【媒体特有のセグメントの例】
・閲覧商品データに基づく興味関心
・高額商品購入傾向などの購買データ

Google、Yahoo!、Metaなどと提携しており、複数媒体へ横断配信が可能です

リターゲティング広告のメリット

リターゲティング広告は、すでに自社サイトを訪問したユーザに対して配信する広告手法であるため、他の広告手法と比べて効率よく成果につなげやすい特長があります。

見込み顧客への再アプローチによる購買促進

一度サイトを訪れたユーザは、少なからず商品やサービスに興味を持っている状態です。しかし、多くのユーザはその場で購入や問い合わせをせずに離脱します。

リターゲティング広告を活用すれば、離脱後も継続的に接触できるため、検討中のユーザに再度アプローチできます。
その結果、再訪問やカート復帰、問い合わせ完了などにつながる可能性が高まり、コンバージョン率の向上が期待できます。

広告費の最適化

リターゲティング広告は、特定の行動を取ったユーザのみに配信できるため、無関係なユーザへの配信を抑えることが可能です。

例えば、商品ページを閲覧したユーザやカートに商品を追加したユーザだけに配信することで、より確度の高い層へ広告費を集中できます。
その結果、無駄なインプレッションやクリックを減らし、費用対効果の改善につながります。

ブランド認知度の向上

ユーザが日常的に利用するWebサイトやSNS、アプリなどで繰り返し広告が表示されることで、ブランドの接触回数が増加します。

購入に至らなかった場合でも、継続的にブランドを想起させることができるため、将来的な購入候補として記憶に残りやすくなります。
特に検討期間が長い商材においては、この「想起の維持」が重要な役割を果たします。

リターゲティング広告のデメリット

一方で、リターゲティング広告には注意すべき点もあります。特性を理解し、適切に運用することが重要です。

ユーザからの印象が悪くなることがある

同じ広告が何度も表示されると、ユーザに「しつこい」「監視されている」といった不快感を与えてしまう可能性があります。

過度な表示は、商品だけでなく企業イメージそのものを損なうリスクもあります。
そのため、広告の表示回数を制限するフリークエンシーキャップの設定や、クリエイティブの定期的な変更、配信期間の調整が必要です。

潜在層へは配信できない

リターゲティング広告は、過去にサイトを訪問したユーザのみが対象です。そのため、新規ユーザやブランドをまだ知らない潜在層に対してはアプローチできません。

新規顧客を獲得したい場合は、ディスプレイ広告やSNS広告、検索広告などを活用して幅広いユーザへ接触し、その後リターゲティングで刈り取るという設計が効果的です。

リターゲティング広告の費用

リターゲティング広告を実施するにあたっては、どの程度の予算が必要になるのかを事前に把握しておくことが重要です。配信対象は自社サイト訪問者に限られますが、サイト規模や流入数によって費用感は大きく変わります。

ここでは、課金方式と費用相場について解説します。

リターゲティング広告の課金方式

リターゲティング広告の課金方式は、主に「クリック課金」と「インプレッション課金(CPM課金)」の2種類です。

クリック課金広告がクリックされるたびに課金される
インプレッション課金(CPM課金)広告を表示した回数にしたがって課金される

クリック課金は、広告がクリックされるたびに費用が発生する方式です。広告が表示されただけでは課金されないため、無駄なコストが発生しにくいという特長があります。コンバージョンを重視した運用を行う場合に適しています。

インプレッション課金(CPM課金)は、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する方式です。クリック率が高い場合には、クリック課金よりも効率よく配信できるケースもあります。一方で、クリックされなくても費用が発生するため、配信精度やクリエイティブの質が重要になります。

リターゲティング広告の費用相場

費用相場は媒体や業種、競合状況によって変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。

クリック課金数十円/1クリック
インプレッション課金(CPM課金)数十〜数百円/1,000回表示あたり

クリック課金の場合は、1クリックあたり数十円程度からが目安です。ただし、競争の激しいジャンルや高単価商材の場合は、クリック単価が大きく上昇することもあります。

インプレッション課金(CPM課金)の場合は、1,000回表示あたり数十円〜数百円程度が目安です。リストの規模が大きく、配信ボリュームが増えるほど総広告費も高くなります。

リターゲティング広告は、自社サイトの訪問者数が多いほど配信対象が増えるため、流入数の多いサイトほど広告費が増加しやすい傾向にあります。反対に、サイト訪問者が少ない場合は、配信ボリューム自体が伸びにくい点にも注意が必要です。

リターゲティング広告を運用する5つのメリット

リターゲティング広告は、単に「再訪を促す広告」ではなく、広告効率を高めるための極めて戦略的な手法です。ここでは、代表的な5つのメリットについて詳しく解説します。

広告を配信するターゲットを絞れる

リターゲティング広告は、自社サイトを一度でも訪問したユーザーのみに配信されます。つまり、まったく関心のないユーザーに広告を出すことがありません。

さらに、閲覧ページや滞在時間、カート追加の有無などの行動データをもとにリストを細分化することで、より精度の高いターゲティングが可能になります。
たとえば「商品詳細ページ閲覧者のみ」「カート投入後未購入ユーザーのみ」など、シナリオに応じた配信ができるため、無駄な広告費を抑えながら効率的にアプローチできます。

見込み顧客に再アプローチできる

サイト訪問者の多くは、その場では購入に至りません。検討を後回しにした結果、商品やサービス自体を忘れてしまうケースも少なくありません。

リターゲティング広告は、そうした「一度は関心を持ったが離脱したユーザー」に再度接触することができます。
広告を通じて存在を思い出してもらい、再訪・再検討を促すことが可能です。

すでに興味を示したユーザーにアプローチできる点は、新規獲得施策と比べても非常に効率的だといえます。

費用対効果が良く、高いCVRが見込める

リターゲティング広告は関心度の高いユーザーに限定して配信されるため、一般的なディスプレイ広告やSNS広告と比べてCVR(コンバージョン率)が高くなる傾向があります。

無関心層への配信が少ない分、広告費の無駄打ちが減り、結果として費用対効果が向上します。

ROASという重要指標

リターゲティング広告の効果測定において重要なのがROAS(Return On Advertising Spend)です。

ROASは「広告費に対する売上の割合」を示す指標で、

広告経由売上 ÷ 広告費 × 100(%)

で算出されます。

たとえば、広告費1万円に対して売上が2万円発生した場合、ROASは200%です。
ただし、ROASが高くても原価率次第では利益が出ていないケースもあるため、目標設定時には粗利ベースでの計算が重要です。

特に単価が変動する商材や複数商品を扱うECサイトでは、ROASは有効なKPIとなります。

単純接触効果(ザイオンス効果)を狙える

リターゲティング広告は同一ユーザーに複数回表示されるため、単純接触効果を活用できます。

単純接触効果とは、接触回数が増えるほど好意度が高まる心理効果のことです。広告や営業活動においてもよく活用される考え方です。

ただし、表示回数が多ければ多いほど良いわけではありません。一般的に効果の上限は10回程度とされ、それ以上は好意度が向上しない、あるいは逆効果になる可能性もあります。

そのため、フリークエンシーキャップ(表示回数制限)を適切に設定し、最適な接触回数をコントロールすることが重要です。

検討期間が長い商材と相性が良い

リターゲティング広告は、検討期間が長くなりやすい商材と非常に相性が良い広告手法です。

たとえば、

BtoB商材
高額商材
比較項目が多い商材

などは、即決されにくく、情報収集・比較検討を経て購入に至るケースが多く見られます。

このような商材では、検討中のユーザーとの接触を継続できるリターゲティング広告が効果を発揮します。関心を持ち続けてもらうことで、最終的な意思決定の場面で選ばれる可能性が高まります。

リターゲティング広告の設定方法

リターゲティング広告を配信するには、タグの設置とオーディエンスリストの作成、そしてキャンペーンへの紐づけが必要です。ここでは、Google広告とYahoo!広告それぞれの設定手順を解説します。

Google広告での設定方法

1. タグの発行

まずは、サイト訪問者を識別するための「Google広告タグ」を発行します。

  1. Google広告にログイン
  2. 「ツール」→「共有ライブラリ」→「オーディエンスマネージャー」を選択
  3. 「Google 広告タグ」の「タグを設定」をクリック
  4. タグの設定方法を選択

設定方法は主に次の3つです。

・自分でタグを設置する
・メールでタグを送信する
・Googleタグマネージャーを使用する

案内に従って、発行されたタグをWebサイトの全ページ(head内)に設置します。

2. オーディエンスリストの作成

タグ設置後は、配信対象となるリストを作成します。

  1. Google広告にログイン
  2. 「ツール」→「共有ライブラリ」→「オーディエンスマネージャー」
  3. 「+」ボタンをクリックし、リストタイプを選択

選択できるセグメントは主に次の5種類です。

・Webサイトを訪れたユーザ
・アプリユーザ
・YouTubeユーザ
・顧客リスト(アップロードデータ)
・Googleアナリティクス連携データ

たとえば「商品ページ閲覧者のみ」「カート追加ユーザのみ」など、条件を設定してリストを作成します。

3. キャンペーンへの紐づけ

作成したリストを、新規または既存のキャンペーンへ紐づけます。
広告グループまたはキャンペーン設定内の「オーディエンス」項目で、作成済みリストを選択すれば設定完了です。

Yahoo!広告での設定方法

1. タグの発行

Yahoo!広告では「サイトリターゲティングタグ」を取得します。

  1. Yahoo!広告にログイン
  2. 管理画面の「ツール」→「ターゲットリスト」を選択
  3. サイトリターゲティングタグを取得
  4. Webサイトに設置

設置方法の詳細は公式ヘルプページに従って実装します。

2. オーディエンスリストの作成

  1. 管理画面の「ツール」→「ターゲットリスト」
  2. 「ターゲットリストを作成」をクリック
  3. 「条件」または「組み合わせ」を選択

・条件:特定ページ訪問者などの単一条件
・組み合わせ:複数リストをAND/ORで組み合わせ

ページ条件や有効期間(例:30日・60日・90日など)を設定し、リストを保存します。

3. キャンペーンへの紐づけ

新規または既存のキャンペーンに、作成したターゲットリストを設定します。
広告グループのターゲティング設定から紐づけることで、リターゲティング配信が開始されます。

リターゲティング広告の活用ポイント

リターゲティング広告は「配信するだけ」では成果は最大化しません。
リスト設計・除外設計・頻度管理まで踏み込むことで、CPAやCVRは大きく改善します。ここでは、実践的な活用ポイントを解説します。

コンバージョン済みユーザへの対応

すでに購入・問い合わせを完了したユーザに同じ広告を表示し続けると、無駄な広告費が発生するだけでなく、ブランドイメージの低下にもつながります。

特に単発購入型の商材では、コンバージョン済みユーザは除外するのが基本です。

実際に、既存ユーザを除外して配信した結果、コンバージョン数を維持したままCPAが58,116円から27,518円まで改善した事例もあります。

一方で、定期購入やECサイトのように複数回購入が見込める商材では、リピート促進目的で配信を継続する戦略も有効です。

ユーザの滞在時間でセグメントする

サイト内行動データは、リターゲティングの精度を高める重要な指標です。

例えば、

・トップページのみ閲覧して離脱したユーザ
・特定カテゴリや商品詳細ページを複数閲覧したユーザ

では、購買意欲が大きく異なります。

ある事例では、コンバージョンユーザの80%が「3分以上滞在」していたことが判明し、配信対象を「3分以上滞在ユーザ」に限定した結果、CVRが45%改善しました。

滞在時間だけでなく、

・セッション回数
・商品詳細ページ閲覧数
・カート投入有無

などで細分化することも有効です。
商品詳細を2ページ以上閲覧したユーザに絞っただけでCVRが11%改善した例もあります。

コンバージョン見込みの低い流入元の除外

流入経路によって、ユーザの検討度は大きく異なります。

例えば、

・指名検索経由のユーザ
・広く配信したディスプレイ広告経由のユーザ

では、コンバージョン率に差が出るケースが多くあります。

Google Analytics 4などの解析ツールで流入元別CVRを確認し、著しく成果の悪い流入元をリストから除外することで、CPA改善が期待できます。

実際に、コンバージョン効率の低い流入ページを除外した結果、CPAが約1/6に改善した事例もあります。

適切なフリークエンシーキャップの設定

リターゲティング広告は接触回数が増えることで効果が高まる「単純接触効果」が期待できます。

しかし、表示回数が過剰になると、

・しつこい
・追いかけられている
・不快

といったネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。

一般的に単純接触効果は10回程度が上限といわれています。
商材や検討期間に応じて、1日・1週間・1か月単位で適切な上限を設定しましょう。

検討期間を過ぎたユーザの除外

商材ごとに検討期間は異なりますが、サイト訪問から時間が経つほどCVRは低下する傾向があります。

そのため、

・訪問後7日以内
・8〜30日
・31〜90日

など、期間別にリストを分けて運用することが重要です。

検討期間を過ぎたユーザを除外、または入札単価を下げることで、費用対効果を改善できます。

Cookieの規制による影響と対策

近年、個人情報保護の観点から各ブラウザでCookie規制が強化されています。
特にサードパーティCookieを活用してきたリターゲティング広告は、大きな影響を受けています。

配信への影響

主要ブラウザの動向は次の通りです。

・Safari(Apple)
 2022年9月以降、サードパーティCookieは完全にブロックされています。そのため、Safariユーザに対する従来型のリターゲティング配信は原則不可となっています。

・Chrome(Google)
 サードパーティCookieの完全廃止は一時的に中止されていますが、将来的な仕様変更の可能性は残っています。また、ユーザがトラッキング可否を選択できる仕組みの導入が進んでおり、リターゲティング配信の対象母数は今後縮小する可能性があります。

つまり、「今は使えるが、将来は不透明」という状態です。

効果計測・分析への影響

サードパーティCookieの制限により、次のような影響が発生します。

・サイト横断のユーザ追跡が困難になる
・アトリビューション分析の精度が低下する
・コンバージョン計測数が減少する

コンバージョンデータが減ることで、自動入札の学習精度も低下する懸念があります。
結果として、CPA悪化や配信最適化の遅れが起こる可能性があります。

そのため、リターゲティング依存型の運用からの脱却が重要になっています。

リターゲティング広告に代わるターゲティング手法

Cookie規制の影響を受けにくい、または補完できるターゲティング手法を紹介します。

類似拡張(Lookalike / 類似ユーザ)

既存の顧客リストやコンバージョンユーザを基に、似た属性を持つユーザへ配信する手法です。

例えば、

・購入者リスト
・問い合わせ完了ユーザ
・高LTV顧客

を元に類似拡張を作成することで、新規獲得を拡大できます。

Google広告、Yahoo!広告、Meta広告など多くの媒体で利用可能です(名称は媒体ごとに異なります)。

キーワードターゲティング

特定のキーワードに関心を持つユーザへ配信する方法です。

・関連キーワード
・購買意欲の高い検索語句
・競合関連キーワード

を設定することで、顕在層へアプローチできます。

Google広告、Yahoo!広告、X広告などで活用可能です。

AIによる自動最適化配信

ターゲットを細かく指定せず、AIに最適化を委ねる配信手法です。

代表例:

・Google:P-MAXキャンペーン
・Meta:ASC(Advantage+ショッピングキャンペーン)
・TikTok:Smart+キャンペーン

十分なコンバージョンデータがあれば、AIが最適なユーザ層を自動拡張し、リターゲティングに頼らない獲得拡大が可能になります。

リターゲティング広告で理解しておくべき3つの留意点

リターゲティング広告は高い成果が期待できる一方で、事前に理解しておくべき重要な注意点もあります。
これらを把握せずに配信を開始すると、十分な効果が得られないどころか、ブランドイメージを損なう可能性もあります。

ここでは、特に押さえておくべき3つの留意点を解説します。

潜在層へのアプローチには適さない

リターゲティング広告は、一度自社サイトを訪問したユーザーに対して配信される広告です。
そのため、まだ商品・サービスを知らない潜在層にはリーチできません。

例えば、

・サイトに一度も訪れたことがないユーザー
・商材カテゴリ自体に興味を持っていないユーザー

は配信対象外となります。

新規顧客を増やしたい場合は、以下の施策と組み合わせることが重要です。

・ディスプレイ広告
・SNS広告
・検索広告(一般キーワード)

リターゲティングは「刈り取り施策」であり、「認知拡大施策」ではないという位置づけを理解しておきましょう。

ユーザーからマイナスのイメージを持たれる可能性がある

「さっき見た商品が、どこに行っても表示される…」
このような体験に、不快感を抱くユーザーも少なくありません。

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の調査でも、ターゲティング広告に対して以下の改善を求める声が挙がっています。

・広告の品質向上
・ターゲティング精度の改善
・配信回数の適正化

特に重要なのが、フリークエンシー(表示回数)の管理です。

過度な接触は逆効果になり、ブランドイメージ低下や広告疲れ(Ad fatigue)を招きます。

対策としては、

・フリークエンシーキャップの設定
・配信期間の見直し
・クリエイティブの定期的な差し替え

が効果的です。

「接触頻度の最適化」が成果とブランド保護の両立につながります。

運用に知識や経験のある人材が必要

リターゲティング広告は、単にタグを設置すれば成果が出るものではありません。
配信リストの設計が成果を左右します。

例えば、

・トップページのみ訪問ユーザー
・商品詳細ページを2ページ以上閲覧したユーザー
・カート投入ユーザー
・フォーム入力途中離脱ユーザー

これらを同一リストで扱うのか、分けて設計するのかで、成果は大きく変わります。

リスト設計が不適切だと、

・関心の低いユーザーに広告を配信してしまう
・CPAが悪化する
・広告費が無駄になる

といった問題が発生します。

成果を最大化するためには、

・GA4などのデータ分析
・コンバージョンユーザーの行動分析
・セグメント設計の最適化

が不可欠です。

リターゲティング広告ならArchRise

リターゲティング広告は、単にタグを設置して配信するだけでは成果は最大化しません。
重要なのは、「どのユーザーに」「どのタイミングで」「どのクリエイティブを」届けるかという設計力です。

ArchRiseでは、

・GA4を活用したコンバージョンユーザーの行動分析
・滞在時間・閲覧ページ・流入経路別の精緻なリスト設計
・フリークエンシーキャップの最適化
・CPA・ROASを基準にした継続的な改善運用

を行い、感覚ではなくデータに基づいたリターゲティング広告運用を実施しています。

また、Cookie規制を見据えた配信設計や、類似拡張・自動最適化配信との組み合わせなど、依存しすぎない戦略構築も可能です。

「配信しているが成果が伸びない」
「CPAが高止まりしている」
そのような場合は、リスト設計そのものを見直すタイミングかもしれません。

まとめ

リターゲティング広告は、見込み顧客への再アプローチに非常に有効な広告手法です。
高いCVRや費用対効果が期待できる一方で、フリークエンシー管理やリスト設計を誤ると、成果悪化やブランド毀損につながるリスクもあります。

Cookie規制の影響も踏まえながら、
・除外設計
・セグメントの細分化
・検討期間別の配信最適化

といった高度な運用が求められます。

戦略的に設計・改善を重ねることで、リターゲティング広告は強力な獲得施策になります。

目次