「ユーザーが社名やサービス名を指名して検索しているのであれば、わざわざ指名キーワードでリスティング広告を出す必要はないのでは?」
このように感じた方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、指名キーワードの検索でもリスティング広告を活用することで、より確実にユーザーを取り込み、集客効果を高められるケースがあります。
本記事では、指名キーワードを使ったリスティング広告のメリットや、効果的に運用するためのポイントをわかりやすく解説します。
まず、指名キーワードとは
- 「企業名」
- 「ブランド名」
- 「サービス名」
など、自社を特定する固有のキーワードを指します。
そして以下のような疑問を持っている方に向けて、具体的な判断基準や注意点をまとめています。
- 指名キーワードに広告費をかける必要はあるのか?
- 指名検索しているなら広告なしでもCVするのでは?
指名キーワードを出稿すべきかどうかは状況によって異なりますが、簡単に確認できる判断方法があります。
本記事では、そのチェック方法とあわせて、指名検索で広告を出す際に押さえておきたい重要なポイントを整理しました。
また、リスティング広告の基本要素である「キーワード」は大きく2種類あり、
- 指名キーワード(指名検索)
- 一般キーワード(一般名詞)
この違いについてもわかりやすく解説していきます。
これから指名キーワードの活用を検討している方、運用に課題を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
指名キーワードとは
指名キーワードとは、企業名・サービス名・商品ブランド名など、自社を特定できる固有の名称を含む検索キーワードのことです。ユーザーが特定の会社やサービスを思い浮かべたうえで検索しているため、非常に意図の明確なキーワード群と言えます。
対義語となるのが「一般キーワード」で、こちらは汎用的な言葉で検索されるものを指します。
たとえば弊社を例にすると、指名キーワードは社名である「株式会社ArchRise」、一方で一般キーワードは「リスティング広告」や「SEOコンサルティング」など、業界全体で使われる広い概念のキーワードが該当します。
指名キーワードで検索するユーザーは、すでに自社やサービスを認知し、ある程度の興味や比較検討の段階にあるケースが多く、一般キーワードで検索するユーザーよりも購入意欲が高い傾向があります。
そのため、「意欲の高いユーザーが検索してくれるなら、リスティング広告を使わなくても自然検索だけで集客できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし実際には、指名キーワードであってもリスティング広告を活用することで、機会損失の防止や競合対策など、さまざまなメリットが得られます。
「指名キーワード」「指名検索」の違いについて
指名キーワードとは、自社を特定できる固有名詞を含むキーワードのことで、企業名・ブランド名・サービス名・店舗名などが該当します。ユーザーが明確にその企業やサービスを思い浮かべたうえで検索しているため、検索意図が非常にはっきりしている点が特徴です。
一方、一般キーワードは「ランニングシューズ」「Web制作」「美容クリニック」など、多くの会社や商品に当てはまる汎用的なキーワードを指します。検索意図が広く、ユーザーが調査段階・比較段階にいるケースも多く含まれます。
「指名検索」とは、これらの指名キーワードを実際にインターネット上で検索する行動そのものを意味します。
指名検索を行うユーザーは、一般キーワードで検索するユーザーに比べて購買意欲が高い傾向があり、すでに企業やサービスを認知したうえで主体的に情報を探している段階にあります。わざわざ社名やサービス名を入力するという行為自体が、強い意図の表れと言えるでしょう。
加えて、インターネット広告の中でもリスティング広告は、購買意欲の高い顕在層にアプローチできる代表的な広告施策です。
指名キーワードで検索しているユーザーは、商品やサービスへの関心がすでに高まっているケースが多いため、クリック率やコンバージョン率、収益性が全体的に高くなる傾向があります。
そのため、自社に関連する指名検索をどれだけ確実に捉えて適切なページへ誘導できるかは、集客成果を大きく左右する重要なポイントとなります。
一般キーワードとは?
一般キーワード(一般名詞)とは、指名キーワード(指名検索)に該当しない、より広い概念を持つキーワードを指します。
つまり特定の企業名やブランド名ではなく、複数の企業・商品・サービスが該当する汎用的なキーワードがすべて一般キーワードに分類されます。
例えば、ユニクロにおける「ダウンジャケット」は多くのユーザーに認知されていますが、「ダウンジャケット」という言葉自体はユニクロ固有のものではありません。
そのため、ユニクロの「ダウンジャケット」を探しているユーザーがいたとしても、「ダウンジャケット」という語句は指名キーワードには該当せず、一般キーワード(一般名詞)として扱われます。
一般キーワードは、指名キーワードと比べてユーザーの検索意図が幅広く、検討段階もさまざまです。
そのため以下の特徴があります。
- 検索意図が多様で、コンバージョン率(CVR)が低くなりやすい
- 複数の企業が同じキーワードで広告を出すため競合が多い
- 競争が激しい分、広告のクリック単価(CPC)が上がりやすい
このように、一般キーワードは検索ボリュームが多い反面、広告競争が非常に激しく、成果を出すための難易度も高まる傾向があります。
そのため、指名キーワードとは別の軸で戦略的に運用していく必要があります。
指名キーワードを使ってリスティング広告を配信する理由
指名キーワードで検索しているユーザーに対してリスティング広告を配信する理由は、主に次の2点に集約されます。
- 競合他社への流出を防ぐため
- 検索結果の占有率を増やすため
それぞれ順に解説します。
競合他社への流出を防ぐため
本来望ましいことではありませんが、競合他社が自社の指名キーワードに対して広告を出稿しているケースは珍しくありません。
このような状況で自社が広告を出していない場合、検索結果の上部には競合他社の広告が表示され、自社の自然検索結果よりも先にユーザーの目に触れることになります。
そうなると、本来自社を調べるために指名検索したユーザーであっても、検索画面の最上部にある競合の広告をクリックし、そのまま競合サイトに流入してしまう可能性があります。これは、明確な意図を持って検索してくれたユーザーを失う大きな機会損失です。
そのため、自社の指名キーワードで広告を配信しておくことは、競合による指名検索の“横取り”を防ぎ、確実に自社サイトへ誘導する上で非常に有効な施策と言えます。
検索結果の占有率を増やすため
ユーザーは検索結果を上から順に閲覧する傾向があり、上位のサイトほどクリックされやすいことが多くの調査で示されています。
実際、自然検索の1位・2位だけで全体の約6割ものクリックを占めるというデータも存在しており、検索結果の上部に表示されるかどうかは流入数に大きく影響します。
指名検索の場合、広告を出していなくても自然検索結果で自社が1位に表示されることは一般的です。
しかし、リスティング広告と自然検索結果が並ぶ状態をつくることで、ファーストビューを自社でほぼ占有することができます。検索画面の最上部に広告、その直下に自然検索結果という二段構えになるため、ユーザーの視線に触れる回数が増え、クリック率の向上が期待できます。
検索結果画面で自社の情報が占有率を高めるほど、ユーザーが他社に流れる可能性を減らし、確実に自社サイトへ誘導しやすくなります。
これが、指名キーワードで広告出稿を行う大きなメリットの一つです。
SEOで上位表示していても指名検索のリスティングは出すべき
「指名検索してくれているのだから、リスティング広告を出さなくても最終的には自社でコンバージョンしてくれるのでは?」
このようなご相談を受けることは少なくありません。
たしかに、そういったユーザーが一定数存在するのも事実ですし、特に自然検索で指名キーワードが上位に表示されている企業ほど、「広告を出す必要はないのでは」という気持ちが強くなる傾向があります。
しかし、ここで理解しておいてほしいのは、リスティング広告を出す本当の目的は、ユーザーの関心を“確実に最後まで”自社サイトへ向け続けることだという点です。
実は、ユーザーの興味や視線が目の前の自社サイトから競合サイトへ流れてしまうことは、想像以上に簡単に起こりえます。
その理由は、競合他社の意図的な出稿戦略であったり、検索画面上の表示に影響されるユーザー心理であったりと、外部要因によって左右されてしまうからです。
これらの競合戦略やユーザー心理については、次の章でより詳しく解説しますが、まず押さえておきたいのは、現在どの程度の機会損失のリスクが存在しているかを把握することで、指名検索で広告出稿すべきかの判断が大まかに行えるという点です。
次の章では、その具体的なチェック方法と、機会損失が発生しやすい理由について解説していきます。
【チェックリスト】指名検索でリスティング広告を出すべき?
現在、自社がどの程度「指名検索でリスティング広告を出稿する必要がある状態なのか」を、下記の方法で簡単にセルフチェックできます。
前の章でも触れたように、基本的には予算に余裕がある場合、SEOで上位表示していても指名検索のリスティング広告は出稿しておくことが理想的です。
そのほうが機会損失を防ぎ、競合の介入リスクも最小限に抑えられます。
しかし現実的には、広告運用は限られた予算・人的リソースの中で行うもので、すべての施策に際限なく予算を割くことはできません。
そのため、「今の状況なら指名検索の広告を出すべきかどうか」を見極める判断基準が必要になります。
迷ったときは、まず下記のチェック項目を使って、現在の機会損失リスクを簡単に把握してみてください。
【指名検索での機会損失リスクが高い状態のチェック項目】
- 指名検索で競合他社のリスティング広告が表示される場合
- 指名検索で名前が似ている他社名・サービス名のリスティング広告が表示される場合
- 指名検索の自然検索部分でヒットしている自社サイトの掲載順位が1位でない場合
競合他社のリスティング広告が表示される場合
自社に関する指名キーワードで検索した際、検索結果の画面に競合他社のリスティング広告がひとつでも表示されているのであれば、即座に広告を出稿すべき状況です。
このような競合広告は、単なる偶然ではなく、競合が戦略的に出稿しているケースが非常に多く、指名検索を行うユーザーを“あわよくば自社の顧客として獲得しよう”という意図が明確に表れています。
その結果、自社の見込み顧客を奪われるリスクが高くなり、深刻な機会損失につながりかねません。
そもそもリスティング広告は、その仕組み上、他社名やサービス名であってもキーワードとして設定すれば広告を表示できてしまいます。
さらに、広告枠は自然検索よりもページ最上部に表示されるため、検索結果の一番目立つ領域を競合に取られてしまうと、ユーザーが競合サイトへ流れてしまう可能性が非常に高くなります。
このように、指名検索の最上部に競合がいる状態は“直接的な脅威”であり、対策として広告出稿は必須といえます。
名前が似ている他社名やサービス名のリスティング広告が表示される場合
指名検索を行った際、自社と同じ名前・似た名前の企業やサービスの広告が表示されるケースも、広告を出稿すべき重要なサインです。
ユーザーが検索をするときの心理には、
「なるべく手間をかけずに必要な情報へたどり着きたい」
という気持ちがあります。
しかし、検索結果が紛らわしい情報であふれていると、ユーザー自身が正しい情報を探し出す負担が発生し、「よくわからないからもういいか」と検索を中断してしまうことも珍しくありません。
これは大きな機会損失であり、ユーザーを逃してしまう原因になります。
<弊社のお客様の事例>
某塗装会社様のケースです。
ご相談いただいた時点で、同じ社名の会社が全国に複数存在しており、社名で検索しても自社サイトが検索結果の上位に表示されない状況でした。
さらに「(社名) 塗装」という指名性の高い検索でも、結果に表示されるのは3ページ目という状態。
このような環境では、せっかくサービスに興味を持って指名検索してくれたユーザーであっても、目的のサイトが見つからずに離脱してしまいます。
(3ページ目まで探してくれるユーザーはほとんどいません。)
加えて「サイトが見つからない=信頼性が低いのでは?」という不信感を抱かれる可能性すらあります。
そこで弊社では下記を提案しました。
- 自然検索の上位表示を目指すためSEOに取り組む(ただし時間がかかる)
- 上位表示までの間、指名キーワードで広告を出稿して機会損失を抑える
この施策はすぐ導入いただき、広告出稿後の2年間で指名検索向け広告経由のコンバージョンを約20件獲得。
インプレッションシェアは90%以上を維持しつつ、平均クリック単価は100円以下という非常に高い費用対効果を実現されました。
自然検索でヒットしている自社サイトの掲載順位が1位でない場合
指名検索をした際、自然検索の結果における自社サイトの掲載順位が1位でない場合も、機会損失のリスクが大きい状態です。
通常、検索結果の上部に自社関連のサイトが多く表示されればされるほど、ユーザーが自社サイトへ流入しやすく、アクセスを確保しやすい傾向にあります。
しかし自然検索の1位に自社サイトがない状況は、ユーザーの視界にまず他社のサイトや別の情報が入るということであり、確実なアクセス誘導において非常に不利です。
指名検索のリスティング広告は、こうした状況でもユーザーの意欲を逃さず、「最後まで自社サイトへ導く」ための受け皿として機能します。
<弊社のお客様の事例>
某クリニック様の事例です。
こちらのクリニック様は新ブランドを立ち上げ、専用サイトを公開したばかりのタイミングで多くの指名検索が期待されていました。
しかし、公開直後でサイトが自然検索の上位に表示されておらず、このままでは指名検索をしてもユーザーがサイトを見つけられない状態でした。
そこで、サイトが上位表示されるまでの間、指名キーワードで広告を出稿し受け皿にする方針を決定。
ブランド公開直後に大量の指名検索が発生しましたが、広告運用により インプレッションシェア100%近くを達成し、ほぼ取りこぼしなく流入を獲得 できました。
現在は自然検索での順位が安定したため、指名検索向け広告はその役目を終え、停止しています。
指名検索におけるリスティング広告の役割
一見すると無駄に思われがちな指名検索でのリスティング広告出稿。しかし本記事で解説してきたように、SEOで上位を確保している場合であっても、指名検索に広告を出す必要性が生じる状況は少なくありません。
より一般化してまとめると、指名検索におけるリスティング広告の主な役割は次の3つです。
- 検索結果の占有面積を広げること
- 似た名前の他社名・サービス名のページへアクセスが流れるのを防ぐこと
- 競合他社の意図的な広告掲載による機会損失を防ぐこと
これらはいずれも、指名検索という「購買意欲の高いユーザー」を取りこぼさないための重要な要素です。
検索画面の中で自社の存在感を強めることで、ユーザーの視線を自社サイトへ確実に誘導し、競合への流出や認知ミスを防げます。
短期的には小さな差に見えても、長期的にはコンバージョン数や収益に大きな影響を与えることも多く、指名検索での広告出稿は企業にとって非常に価値の高い施策となりえます。
検索結果の占有面積を広げる
検索結果画面における占有面積が広がることは、自社サイトへのアクセスを増やし、ユーザーの流出を防ぐうえで非常に有効です。
検索結果にはニュース記事やブログ、比較サイトなどユーザーの興味を引きやすい情報が多数含まれています。こうした情報に一瞬でも注意を奪われてしまうと、ユーザーは本来の目的から逸れてしまい、結果として自社サイトへの流入機会を失ってしまうことがあります。
そのため、確実に自社への流入数を確保するための一手段として、指名検索でリスティング広告を表示することは有効です。
特に、リスティング広告と自然検索の両方で上位を確保できている場合、スマートフォンやPCの検索結果におけるファーストビュー(検索直後にスクロールせずに見える画面)をほぼ自社で独占できます。
この領域に自社ブランド説明やサービス概要、連絡先情報などが一覧表示されることで、購買意欲の高い顕在層を確実に自社サイトへ誘導できます。
似た名前の他社名やサービス名のページへアクセスが流れるのを防ぐ
似た名前の会社名やサービス名が存在する場合、ユーザーが誤って他社のページへ流れてしまうことはよくあります。
こうした状況を防ぐためのリスティング広告は、ユーザーの負担を軽減し、自社へのアクセスを確保する上で大きな効果を発揮します。
ユーザーは「できるだけ簡単に目的の情報へたどり着きたい」と考える傾向があります。
検索結果が似た名称で溢れていると、正しいページを見つけるための手間が増え、途中で探すのを諦めてしまうこともあります。
そのため、自社が正しい選択肢であることを明確に示し、迷わせないためにも指名検索で広告を出すことは有効な施策となります。
意図的な競合他社の広告表示による機会損失を防ぐ
前述の通り、リスティング広告は他社の会社名・サービス名でも出稿できてしまう仕組みです。
そのため競合他社が戦略的に自社名をキーワードとして広告を出し、指名検索ユーザーを獲得しようとしているケースも少なくありません。
広告は自然検索よりも上部に表示されるため、競合がその位置を占めてしまうとユーザーはまず競合広告を目にし、そのまま競合サイトへ遷移してしまう可能性が高まります。
こうした事態を避けるためにも、自社でも指名キーワードで広告を出稿し、「本来の見込み顧客を競合に奪われない状態」を作ることが大切です。
アルゴリズムの変動リスクを回避する
Google検索では年に数回、大規模なアップデートが実施され、検索順位が大きく変動することがあります。
特に以下のアップデートでは、多くの企業サイトやメディアに大きな影響がありました。
- 2015年7月 パンダアップデート
アフィリエイトサイトや内容の薄いページを中心に順位が変動 - 2017年12月 健康アップデート
医療系・キュレーション系サイトが大幅に順位下落 - 2019年10月 BERTアップデート
個人ブログや個人事業主サイトで大きな影響 - 2021年11月 コアウェブバイタルアップデート
メディア系サイトを中心に表示速度などの評価が強化
指名検索に依存した集客を行っている場合、こうしたアルゴリズム変動の影響で自然検索順位が下がると、アクセス数が急激に落ち込み、売上にも直結するリスクがあります。
リスティング広告はアルゴリズムの影響を受けないため、仮に自社ホームページの順位が下がって表示されづらい状況になっても、広告経由のアクセスを維持できます。
そのため、検索エンジン変動へのリスクヘッジとしても有効な施策です。
ここまでで指名検索におけるリスティング広告の価値をお伝えしてきました。
次に、指名検索で広告を出稿する際に 必ず気をつけてほしいキャンペーン構成 について解説します。
また、近年では2019〜2020年にかけて発生した大手家具通販「ロウヤ」の偽サイト問題のように、有名ブランドが詐欺サイトに模倣されるケースも増えています。
指名キーワードによる広告出稿は、こうした偽サイト対策(取り下げ申請や商標キーワードの保護)にも役立つため、ブランド保護という観点でも重要な役割を果たします。
指名キーワードを効果的に活用するためのポイント
では、指名キーワードでリスティング広告を配信する際、どのように設定すれば効果を最大化できるのでしょうか?
ここでは、リスティング広告全般にも通用する基本的な考え方を踏まえ、特に指名検索で意識したい3つのポイントを紹介します。
- タイトルや説明文に伝えたい情報を的確に盛り込む
- 広告表示オプションを活用してユーザビリティを高める
- 登録する指名キーワードの範囲を適切に設定する
順に解説します。
タイトルや説明文に伝えたい情報を的確に盛り込む
タイトルや説明文には、ユーザーに伝えたい重要な情報を明確に盛り込みましょう。
キャンペーン情報や期間限定の訴求など、ユーザーにとって「決め手」になる内容を含めることで、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。
指名検索をしているユーザーはすでに関心が高いため、最後の一押しとなる情報があるかどうかは大きな差になります。
少ない文字数の中で、ユーザーが知りたい情報をできる限り具体的に伝えることが重要です。
広告表示オプションを活用してユーザビリティを高める
リスティング広告には、タイトルと説明文に加えて追加情報を表示できる「広告表示オプション」があり、無料で設定できます。
GoogleとYahoo!で設定できる項目に多少の違いはありますが、指名検索向けに効果的で、どちらでも利用できる代表的なオプションは以下の2つです。
- サイトリンク表示オプション
- コールアウト表示オプション
サイトリンク表示オプション
サイトリンク表示オプションは、広告文の下に自社サイト内の特定ページへのリンクを追加表示できる機能です。
ユーザーが興味を持ちやすいページ(料金ページ、問い合わせページ、商品別ページなど)をあらかじめ設定しておくことで、ユーザーの動線を最適化できます。
サイトリンクによって画面内の占有面積も広がるため、視認性が高まり、クリック率を向上させる効果も期待できます。
コールアウト表示オプション
コールアウト表示オプションは、広告文だけでは収まりきらない自社商品の特徴や強み、期間限定情報などを短いテキスト形式で追記できる機能です。
訴求ポイントを補足できるため、ユーザーに「選ぶ理由」を伝えることができ、意思決定の後押しにつながります。
広告表示オプションについてより詳しく知りたい場合は、下記のリンクも参考にしてください。
広告表示オプションとは?特徴や設定方法などを解説!
登録する指名キーワードの範囲を適切に設定する
指名検索には、ビジネス目的と直接関係のない検索も含まれます。
特に企業名で検索するユーザーの中には、採用情報や株価を調べているケースも多く、これらは購入や問い合わせにつながりにくいキーワードです。
そのため、あらかじめ除外キーワードとして設定し、無駄なクリックを発生させないようにすることが重要です。
ただし除外キーワードには注意点があります。
通常のキーワード設定と同様にマッチタイプを指定しますが、除外設定には以下の2つの大きな特徴があります。
- 類似拡張がない
- 絞り込み部分一致が存在しない
下図の通り、除外キーワードは表記揺れや誤字には反応せず、設定した語句そのものにのみ反応します。
つまり、入力方法が異なるだけで広告が配信されてしまう場合があります。
検索語句:
【○○会社 料金】
| 検索語句例 | 完全一致除外 | フレーズ一致除外 | 部分一致除外 |
|---|---|---|---|
| “○○会社 料金”(完全一致) | × | × | × |
| ○○会社 料金 比較 | 〇 | × | × |
| ○○会社 昨年 料金 | 〇 | 〇 | × |
| ○○会社 りょうきん(読み違い) | 〇 | 〇 | 〇 |
| ○○ 価格 | 〇 | 〇 | 〇 |
(※〇は表示される、×は表示されない)
このように、想定外のアクセスが表示される可能性があるため、除外キーワードは複数パターンを用意して登録しておき、検索クエリを定期的にチェックしながら更新することが大切です。
指名キーワードでリスティング広告を運用する際の注意点
指名キーワードでリスティング広告を出稿する場合は、一般キーワードと同じキャンペーンに混在させないことが重要です。
理由としては、指名と一般ではユーザーの意図や検索段階が異なるため、同じ枠で管理すると予算配分の調整が難しくなり、正確な効果測定が行えなくなる可能性があるためです。
指名キーワードと一般キーワードは、性質が大きく異なります。
特に指名キーワードは以下のような特徴があり、一般キーワードよりもパフォーマンスが良くなる傾向があります。
- クリック率(CTR)が高くなりやすい
- コンバージョン率(CVR)が高い
- クリック単価(CPC)を抑えやすい
- コンバージョン単価(CPA)が低くなりやすい
このように、指名キーワードは成果が出やすく効率の良い傾向があります。しかし、一般キーワードと同一キャンペーン内で運用すると、オークションの性質上、一般キーワード側で予算が消化されやすく、パフォーマンスが良い指名キーワードの配信量が十分に確保できないという問題が起こります。
結果として、本来であれば低コストで確実に成果が見込める指名キーワードの機会を取り逃がしてしまい、非常にもったいない状況になります。
また、一般キーワードのキャンペーンでは、指名キーワードを除外登録しておくことも必須です。
除外設定を行うことで、「一般キーワード×指名ワード」の掛け合わせが混在し、一般キーワードの成果が正しく測定できなくなる事態を防ぐことができます。
指名と一般は意図・段階・性質がまったく異なるため、
キャンペーンを分ける/一般側では指名を除外する
という運用ルールを徹底することで、より正確な評価と効率的な予算運用が可能になります。
リスティング広告なら ArchRise
指名キーワードや一般名詞を活用したリスティング広告運用は、広告効果や予算効率に大きく差が出る分野です。 ArchRiseでは、以下のようなサポートを通じて、貴社の広告運用を成功に導きます:
- 指名キーワードの選定・除外キーワード設計による無駄クリックの削減
- キャンペーン構成の最適化(指名キーワード/一般キーワードの分離)による予算配分の明確化
- 広告文・表示オプション・入札戦略の設計によるクリック単価・コンバージョン単価の改善
- 検索順位変動など外部要因に影響されない出稿構造の構築
「指名検索で広告を出すべきか迷っている」「SEOで上位を取れているが機会損失を防ぎたい」「広告運用の効率を更に改善したい」――そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度 ArchRise までご相談ください。
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まとめ
本記事では、指名キーワードおよび指名検索におけるリスティング広告の意義・メリット・運用のポイントについて解説してきました。主な内容は以下の通りです:
- 指名キーワードとは、自社の社名・ブランド名・サービス名など、特定企業を想起させる固有のキーワードであること
- 指名検索を行うユーザーは、一般名詞検索ユーザーに比べて意欲・状況が異なり、広告出稿でも有利な傾向があること
- 指名検索におけるリスティング広告の役割として「検索結果の占有」「誤流入防止」「競合広告による機会損失回避」「アルゴリズム変動リスクの軽減」があること
- 運用時の具体的なポイントとして、広告文・説明文に訴求を盛り込む、広告表示オプションの活用、キーワード範囲の整理・除外設定といった設計が重要であること
- キャンペーン構成では、指名キーワードと一般キーワードを分離して管理することで、予算配分・効果測定を適切に行えること
指名検索は「既に自社を認知しており、購買や問い合わせに近い段階のユーザー」が対象となるため、適切に運用すれば非常に高い効果を期待できます。一方で、広告出稿を行わないことで貴重な機会を失うリスクも存在します。
だからこそ、戦略的に配信設計を行い、コストパフォーマンスを最大化することが求められます。
貴社が次のステップとして「指名検索でのリスティング広告出稿」に踏み出す際、本記事がその意思決定の一助となれば幸いです。
ぜひ、戦略設計・運用の実行において迷われた際は、一度 ArchRise までお問い合わせください。

