工務店のリスティング広告完全ガイド|費用対効果を高める運用ポイントとは

「工務店のリスティング広告完全ガイド|費用対効果を高める運用ポイントとは」のサムネイル

「工務店の集客を強化したいけれど、SNS広告やチラシより本当に効果があるのはどれだろう?」
「リスティング広告って聞くけど、具体的にどんな仕組みで、どんな費用がかかるの?」

こうした疑問を持つ工務店の経営者・Web担当者は少なくありません。
2025年現在、住宅業界では“ネット経由の集客”が主流になりつつあり、リスティング広告はその中心的な手法の一つとして注目されています。

リスティング広告は、「今まさに住宅会社を探している見込み客」へピンポイントでアプローチできる即効性の高い広告です。うまく運用すれば、ホームページからの問い合わせ・来場予約・見積依頼などを大きく伸ばすことができます。

一方で、キーワードの選定や広告文・ランディングページ(LP)の設計を誤ると、クリックばかり増えて肝心の成約につながらないという課題もあります。

本記事では、工務店がリスティング広告で成果を出すために必要な
「広告の仕組み」「運用のコツ」「費用相場」「効果を最大化する方法」
を、初心者にも分かりやすく解説します。

地域密着型の工務店が“限られた予算で最大の集客効果を上げる”ための実践ノウハウを、ぜひ最後までご覧ください。

目次

工務店の集客で陥りがちなポイントとは

Instagramの普及によって、工務店の集客方法はここ数年で大きく変化しました。
現在では多くの工務店オーナー様やマーケティング担当者様が、Instagramを中心にSNSやWeb広告を活用した集客を試みています。

広告運用を提案する代理店も増え、Web集客は当たり前の時代になりました。
しかし「その施策、本当にうまくいっていますか?」

多くの工務店のWebサイトを拝見すると、「なぜこの状態で広告を出しているのだろう」と感じるケースが少なくありません。
つまり、多くの工務店が「インターネット集客の正しい順番」を理解しないまま施策を進めてしまっているのです。

広告代理店や制作会社に任せきりのまま、仕組みを把握しないまま運用してしまう。
これが、成果が出にくい最大の原因です。

ここでは、工務店の集客で特に陥りやすい3つのパターンを紹介します。

  1. Instagramやホームページを作っても成果が出ない
  2. 競合との差別化ができていない
  3. リスティング広告を理解せずに出稿し、内容の分からないレポートが毎月届く

工務店様の広告運用のご相談をいただく事がありますが、50社中40社が「間違った運用」をしているのが実情です。
中には、毎月100万円以上の広告費を投下しているケースもあります。
それほどまでに、工務店業界では正しい集客の設計順序が浸透していないのです。

注文住宅検討者の7割がInstagramを利用

ゼロシード株式会社の調査によると、注文住宅を検討・購入した方の約7割(68%)がInstagramで情報収集を行っていたことが分かっています。


出典:ゼロシード株式会社「コロナ禍における注文住宅検討者の情報収集の変化」

コロナ禍以降、消費者行動のオンライン化が加速し、工務店の集客でもSNSの活用は欠かせない要素となりました。
特にInstagramはビジュアル訴求に強く、施工写真やインテリアをおしゃれに見せることでブランド価値を高めやすい媒体です。

完成見学会やモデルハウスへの誘導、イベント告知などにも効果的で、「世界観の発信」と「予約獲得」を同時に実現できます。

オフライン施策の効果も見直そう

一方で、チラシや看板などのオフライン施策も今なお有効です。
特に住宅展示場の周辺や見込み客の多いエリアでの設置・配布は、名前の認知を広げる上で大きな効果があります。

ただし、これらの施策はコストがかかるため、Web施策との組み合わせ(ハイブリッド戦略)が鍵です。
地域での露出をオフラインで確保し、Web広告やSNSで“興味層を取りこぼさない”導線を設計することで、
工務店の集客効率は大きく向上します。

広告を考える前にやることがある

こんなことをインターネット広告の運用会社が言うのは少し矛盾しているように思われるかもしれませんが、多くの工務店様は「広告を出す前の段階」でつまずいています。
そもそもインターネット広告とは、「出稿すれば自動的に集客できる」といった単純なものではありません。

広告の役割は基本的に【見込み顧客をホームページに呼び込むこと】までです。
一部、完成見学会などのイベント告知を除けば、広告そのものが成約を生み出すわけではありません。

この点を理解しないまま「とりあえず広告を出してみよう」と考えると、うまくいかないことが多いのです。

今一度、ご自身のホームページを見直してみてください。
もし、32歳・既婚・小さな子どもがいる女性があなたのサイトを見たときに、「この工務店、雰囲気が良くて信頼できそう」と感じてもらえるでしょうか?

チラシの場合は、手に取った瞬間に「いいな」と思われるかどうかが全てです。
一方で、ネット広告の場合は「クリックした次の瞬間」にホームページが表示されます。つまり、そのページを見た瞬間に“良い印象”を持たれなければ、集客としてはアウトです。

もちろん、広告運用の設計やターゲティング精度によって、より確度の高いユーザーをホームページに誘導することは可能です。
ですが、最終的に判断を左右するのは、ホームページそのものの質と第一印象です。

一度、家づくりを検討している知人や身近な方に自社サイトと競合のサイトを見比べてもらってください。
そして「あなたのホームページを見て住宅を建てたいと思えるか?」と率直に聞いてみましょう。
その段階で「いいね」と言ってもらえるようであれば、広告を出す準備は整っています。

Instagramも同じです。
身近な人があなたの投稿を見て「おしゃれ」「素敵」と感じられないものを、見ず知らずのユーザーが良いと思うでしょうか?
周りの人に“いいね”と思われないものは、ネット上でも響きません。

これは工務店に限らず、すべてのWeb集客に共通する基本です。
しかし現実には、この段階を整えないまま広告を出稿している工務店が非常に多いのです。
特にInstagram広告では、サイトが重い、SSL非対応、スマホ非対応といった基本的な不備が見受けられます。

【基本中の基本のNG行為】

  • ホームページの作り込みが甘く、トップページの印象が弱い
  • スマホ対応ができていない
  • インスタグラムとサイトの世界観が統一されていない
  • ページの読み込み速度が遅い
  • SSL(セキュリティ)未対応
  • 問い合わせフォームが複雑で入力しづらい

【成果を出している工務店が意識しているポイント】

  • トップページの第一印象にこだわり、直帰率40〜50%以下を維持
  • 施工事例ページが充実し、1件ごとにストーリーがある
  • 掲載する事例は“自社の強み”が伝わる内容に厳選
  • 写真の統一感とクオリティを重視
  • サイト経由の予約特典(クオカードなど)を設けている
  • 代表メッセージやスタッフ紹介から会社の想いが伝わる
  • 資料請求ページが丁寧に作り込まれている
  • 問い合わせフォームがシンプルで入力負担が少ない
  • 定期的にイベントや見学会を開催している
  • インスタのデザインとサイトの世界観を統一している

ホームページを徹底して作り込む

上記の中でも、特に「トップページのデザイン」「施工事例」「写真の品質」は最優先事項です。
トップページが重い、見づらい、古臭いと感じられるようでは、どれだけ広告をかけても離脱を招きます。

今の住宅検討者は、まずInstagramで情報を探し、気になった工務店のホームページを確認します。
つまり、ホームページはインスタで生まれた興味を信頼へ変える場所なのです。

せっかく広告やSNSからアクセスしても、ホームページが魅力的でなければ二度と戻ってきません。
逆に、サイトがしっかり作り込まれていれば、多少広告の設定に不備があっても成果は上がります。
まずは、自分の周りの人が「このサイト、いいね」と感じるレベルまで作り込むことが第一歩です。

インスタグラムのアカウント開設とデザインの作り込み

今や住宅を検討している人のほとんどがInstagramを利用しています。
特に注文住宅では、ホームページよりも先にInstagramをチェックする傾向があります。

そのため、アカウントを開設したら、投稿1枚ずつの見栄えだけでなくアカウント全体の統一感を意識しましょう。
投稿の色味やレイアウトをそろえ、世界観を感じられるアカウントを作ることが重要です。

一度、知人やお客様候補に見せて「おしゃれだね」「センスがあるね」と言ってもらえるレベルを目指してください。
自分の周りの人にすら良いと思われないものを、知らない人が心を動かされることはありません。

また、ユーザーの閲覧動線は「Instagram→ホームページ」だけでなく、「ホームページ→Instagram」にも及びます。
両方を行き来できるように設計し、ビジュアルとトーンを統一することで、コンバージョン率(CVR)は大きく改善されます。

リスティング広告よりインスタ広告がいいってほんと!?

このテーマについては、多くの誤解が広まっています。
原因は、知識の浅い広告代理店の提案や、ネット上にあふれる曖昧な情報にあると感じます。

「リスティング広告よりもインスタ広告の方が成果が出る」
こうした話を耳にする機会も増えましたが、私たちの結論は明確です。
その答えは「NO(ノー)」です。

ではなぜ、多くの方が「インスタ広告の方が効果的」と考えてしまうのでしょうか。
理由は主に2つあります。

1. 住宅検討の入り口はデザインから始まる

家づくりを考え始めたとき、人々が最初に意識するのは「機能」や「価格」ではありません。
ほとんどの方が真っ先にイメージするのは、「こんな雰囲気の家に住みたい」「あんなデザインが素敵」という“見た目”の部分です。

つまり、住宅検討の初期段階ではデザインがスタート地点なのです。
そして、デザインから情報を探せるInstagramが注目されるのは当然の流れです。

ただし、ここで多くの工務店が誤解してしまうのが、「インスタが重要=インスタ広告を出すべき」という短絡的な判断です。
確かにInstagramは認知を広げるには有効な媒体ですが、集客成果を出すには“正しい順番”があります。

たとえば、住宅に興味を持ち始めたばかりのユーザーにいきなり「見学会に来てください」と広告を出しても、ハードルが高すぎます。
広告を出す前にまず行うべきは、フォロワーを増やすこと、ファンを育てることです。
インスタ広告は、その基盤ができて初めて効果を発揮します。

2. リスティング広告で成果を出せていない企業が多い

私たちは全国の住宅関連企業を中心に、広告レポートを確認することがあります。
これだけ多くの工務店とデジタル集客の改善に関わってきた代理店は、そう多くないはずです。

その経験から言えるのは、「リスティング広告の設計が間違っている企業が非常に多い」ということ。
つまり、リスティング広告そのものが悪いのではなく、「正しい運用ができていない」ことが原因なのです。

リスティング広告で成果を出すための基本はシンプルです。
今まさに検討している顕在層にしっかり広告を配信すること。
しかし現実には、この基本ができていないケースがほとんどです。

たとえば、「住宅を検討し始めたばかりの潜在層」に広告を出していたり、
競合の社名を検索しているユーザーに広告を配信していたりします。
「まさかうちがそんな配信を?」と思われるかもしれませんが、これがリスティング広告の落とし穴です。

実際に10社のレポートを見れば、そのうち7〜8社はこうした誤配信の状態にあります。
多くの工務店様が提出を受けている「キーワードレポート」も、実は注意が必要です。
設定しているキーワードと、実際に配信されている検索語句が一致していないケースが非常に多いのです。

たとえば、「名古屋 注文住宅」で配信しているつもりでも、実際は「中古住宅」「ローコスト住宅」「マンション リフォーム」などに配信されていたという例もあります。
結果、見込み客ではないユーザーばかりに広告が届き、費用が無駄になってしまうのです。

また、「分譲住宅」と「注文住宅」ではユーザーの検索意図が全く異なります。
それにも関わらず、広告文や配信設定を同一のまま運用しているケースも少なくありません。
住宅業界の構造や検討プロセスを理解せずに広告を運用している代理店が多いのが現実です。

こうした背景から、工務店の皆様が「リスティングよりインスタのほうが良いのでは?」と感じてしまうのも無理はありません。
しかし、正しく設計・運用されたリスティング広告は、インスタ広告では届かない“本気で家を建てたい層”にしっかりリーチできる強力な集客手段です。

工務店・リフォーム会社にはリスティング広告が効果的

前置きが長くなりましたが、結論工務店の集客にはリスティング広告が効果的です。

今の時代、住まいに関する情報収集の中心はインターネットです。
そのため、Web集客は工務店やリフォーム会社の経営を支える基盤となっています。

スマートフォンの普及により、多くの人が「地域名+工務店」「リフォーム+費用」などの検索を通じて情報を集め、口コミサイトやSNSの投稿を参考に施工会社を選ぶようになりました。

こうした状況の中で、従来型のチラシ配布や紹介依存の集客に頼り続けるのは、機会損失を招く可能性があります。
今後は、オンライン上での情報発信を通じて、見込み顧客に能動的にアプローチすることが競合との差別化、ひいては安定的な集客へとつながります。

住宅に高い関心を持つ顧客にピンポイントで届く

リスティング広告の最大の強みは、今まさに住宅やリフォームを検討している顕在層に直接リーチできる点です。

たとえば「横浜 工務店 おすすめ」や「浴室リフォーム 費用」と検索しているユーザーは、すでに具体的な行動意欲を持っています。
このような検索キーワードに連動して広告を表示できるため、ニーズが顕在化している顧客へ最適なタイミングで訴求が可能です。

結果として、クリック単価あたりの効果(CPA)が高まり、質の良い問い合わせや資料請求を獲得できるのです。

すぐに効果が見える即効性の高さ

リスティング広告のもう一つの魅力は、配信開始からすぐに成果を実感できるスピード感にあります。

SEO対策のように検索順位が安定するまで数ヶ月を要する手法とは異なり、リスティング広告は設定完了後すぐに配信が可能です。
そのため、「完成見学会」「キャンペーン」「繁忙期」など、特定期間に合わせたスポット集客にも柔軟に対応できます。

短期間でWebサイトへの流入を増やし、資料請求や来場予約といった即効性のある集客効果を得たい場合には、最適な選択肢といえるでしょう。

小規模な予算でも始められる柔軟性

リスティング広告には、最低出稿金額の制限がなく、少額から運用を始められる自由度があります。
広告費はクリックされた分だけ発生する「クリック課金制」であり、1日の上限予算も任意に設定可能です。

たとえば、月5万円程度からテスト的に運用を始め、効果を見ながら広告費を段階的に増やしていくこともできます。

そのため、地域密着型の工務店や小規模なリフォーム会社でも、リスクを抑えてWeb集客を強化できるのが大きな魅力です。
費用対効果の高さとコントロール性を兼ね備えた、まさに現代の工務店に適した広告手法と言えるでしょう。

工務店・リフォーム会社向け|リスティング広告の基礎知識

ここでは、工務店・リフォーム会社がリスティング広告を効果的に活用するための基礎知識をわかりやすく解説します。
まずは「概要」「出稿媒体」「広告費の相場」について順に見ていきましょう。

1. リスティング広告の概要

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジン上で、ユーザーの検索結果に連動して表示される広告のことです。
ユーザーが特定のキーワードを検索した際、その内容に関連する広告が自動的に表示される仕組みになっています。

たとえば「リフォーム 大阪」「注文住宅 東京」などのキーワードで検索する人は、すでに住宅やリフォームへの関心が高く、行動意欲がある“顕在層”です。
こうしたユーザーに対して広告を表示できるため、効率的かつ的確に新規顧客を獲得できるのが特徴です。

また、リスティング広告はクリック課金制(CPC)を採用しており、広告がクリックされたときのみ費用が発生します。
そのため、無駄な広告費を抑えながら、確度の高い見込み客にリーチできます。

さらに、地域ターゲティングによって特定エリアに絞った配信が可能なため、地域密着型の工務店やリフォーム会社にとって非常に相性の良い広告施策といえるでしょう。

2. 出稿媒体の種類

リスティング広告を出稿できる代表的な媒体は、以下の2つです。

  • Google広告
  • Yahoo!広告(旧Yahoo!リスティング広告)

2-1. Google広告

世界最大の検索エンジンであるGoogleに広告を配信できる媒体です。
Google検索を利用するユーザー数は圧倒的に多く、広範囲な層へリーチできるのが大きな魅力です。

また、配信地域・時間帯・デバイス(スマホ/PC)・年齢層などを細かく設定できるため、高精度なターゲティングが可能です。
よりデータドリブンに広告効果を最適化したい工務店・リフォーム会社に適しています。

2-2. Yahoo!広告

Yahoo! JAPANの検索結果に広告を表示する仕組みです。
国内では月間約8,400万人が利用しており、特に40代以上のユーザーが多いのが特徴です。

この層は住宅購入やリフォームを検討する中心世代でもあるため、高年齢層への訴求に強い媒体といえます。
ファミリー層や持ち家層をターゲットとする工務店にとっては、非常に相性の良い選択肢です。

3. リスティング広告の費用相場

リスティング広告の費用は、出稿目的や地域、キーワードの競合状況によって異なりますが、以下がおおまかな目安です。

項目費用の目安
初期予算10万〜30万円
継続運用費月額5万〜30万円程度

広告費は以下の要素によって大きく変動します。

  • 地域性(都市部か地方か/競合の多さ)
  • ターゲットキーワードの競争率
  • 目標とする成果(お問い合わせ・資料請求・来場予約など)
  • 自社運用(インハウス)か外部委託(代行会社)か

なお、自社で広告を運用する場合は出稿費のみで済みますが、運用を外部に委託する場合は広告費の約20%程度が手数料として発生するのが一般的です。
運用の知見が不足している場合は、プロに依頼することで無駄な出費を防ぎ、最短で成果を出すことも可能です。

その他の広告

リスティング広告以外にも工務店集客と相性のいいWEB広告をご紹介します。

ディスプレイ広告

「ディスプレイ広告」とは、ポータルサイトやニュースサイトなどの広告枠に表示される画像・動画・テキスト形式のバナー広告のことです。
ユーザーの年齢・性別・居住地域・過去の検索履歴・興味関心といったデータをもとに、広告を表示させるターゲットを細かく設定できます。

工務店様がディスプレイ広告を活用すべき理由は、大きく分けて次の2つです。

  1. 見学会などのイベント告知
  2. 自社への興味・関心の醸成

見学会の広告では「顕在層(今すぐ家づくりを検討している層)」をターゲットに、
一方、興味関心広告では「潜在層(まだ検討を始めていない層)」にアプローチし、顕在層へ育成していくことが目的です。
同じ広告でも、目的と狙う層が異なれば配信内容も変わってきます。

特に興味関心の広告では、広告を見たユーザーが顕在層へ移行するまでの期間は早ければ1週間、長くても数か月程度。
検討サイクルが短いため、定期的な広告更新が成果を左右します。

また、課金方式には2種類あり、

  • クリック課金型(CPC):クリックされた時点で費用が発生
  • インプレッション課金型(CPM):表示回数に応じて費用が発生

目的に応じて選択・併用するのが効果的です。

インスタ広告

「インスタ広告」は、Instagramのタイムラインやストーリーズ、リールなどに表示される広告です。
投稿と同じように写真や動画でビジュアル訴求ができ、広告の表示面も多彩です。

広告の信頼性を高めるためには、アカウント自体に数千人規模のフォロワーがいることが理想です。
一定のフォロワー数があることで、広告を見たユーザーに安心感を与えられます。

インスタ広告の主な用途も、ディスプレイ広告と同じく次の2つです。

  1. 見学会などのイベント告知(顕在層向け)
  2. 自社ブランドへの興味関心醸成(潜在層向け)

つまり、顕在層・潜在層それぞれに異なる目的で活用できる点が共通しています。

インスタ広告の効果的な運用ステップ

インスタ広告を成功させるためには、段階的に運用していくことが重要です。

① リマーケティングからスタート

まずは、自社ホームページを訪問したユーザーに対してリマーケティング広告を配信します。
すでに自社に興味を持っている層に再アプローチできるため、見学会やイベントへの誘導効果が非常に高いのが特徴です。

② フォロワーを増やすための広告を実施

次に、アカウントのフォロワー数を増やすための広告を配信します。
ここで重要なのが「デザイン」と「キャッチコピー」の完成度です。
ユーザーが「この家いいな」「こんなデザインに住みたい」と感じる投稿を意識して制作しましょう。

特に住宅業界では、広告の世界観やトーンがInstagram全体と統一されているかどうかで成果が大きく変わります。
デザイン性の高い広告は、フォロー率・クリック率・滞在時間のいずれにも好影響を与えます。

③ 広告の定期的な切り替え

インスタ広告は高頻度でクリエイティブを入れ替えることで、パフォーマンスが維持・向上しやすい傾向があります。
同じ広告を長期間配信していると、ユーザーの目が慣れてしまい反応率が下がるため、
数週間〜1か月を目安にデザインやコピーを更新していくことが理想です。

工務店様の分野別広告運用と広告費の例

ここからは、工務店様の業態別に見た広告運用の考え方と、実際の広告費の目安を具体的に解説します。
特に、限られた予算で運用する場合は、まず「顕在層」への配信を優先することが鉄則です。

注文住宅の場合

「家を建てる」工務店様は、自社が注文住宅か分譲住宅かをまず明確に区分しましょう。
注文住宅の中でも、年間棟数の規模によって適した広告戦略は大きく異なります。

ここでは、次の3つの規模別に分けて解説します。

  • 小規模:年間棟数15棟未満
  • 中規模:年間棟数50棟未満
  • 大規模:年間棟数80棟以上

自社の棟数・体制・商圏エリアに応じて、最も近いパターンを参考にしてください。

【小規模(年間棟数15棟未満)】

小規模の工務店様は、「見学会集客型」の広告戦略が最も効果的です。
広告媒体はディスプレイ広告またはInstagram広告が中心で、広告費の目安は月額10万円前後。
基本的にはこの予算をすべて「見学会の集客広告」に充てましょう。

ただし、ホームページの完成度が低いまま広告を出すのはNGです。
広告配信に入る前に、まずは以下のページを重点的に整えてください。

  • 施工事例ページ(写真・ストーリー性を持たせる)
  • コンセプトページ(ブランドの想いを明確に)
  • イベントページ(来場メリットを打ち出す)

また、行きたくなる見学会企画を作ることも大切です。
来場動機を強化するために、ターゲットを具体的に設定し、ファミリー層を狙うなら「お祭り」や「縁日イベント」形式にするのも有効です。
ヨーヨーすくい・お菓子プレゼントなど、子どもが行きたくなる工夫が結果的に集客を伸ばします。

広告表現も重要です。
ターゲットに刺さるキャッチコピー、印象的な動画・ビジュアルで行きたい気持ちを引き出しましょう。

【中規模(年間棟数50棟未満)】

中規模の工務店様では、「ブランディングと集客の一体化」が鍵です。
まずは、ホームページとInstagramの世界観を統一してください。

実際、多くの企業で「サイトとSNSのトーンがバラバラ」「自社の強みが伝わっていない」といったブレが見られます。
広告だけでなく、ビジュアル・メッセージ・文体を統一させることがブランド信頼度を高めます。

広告費の目安は月額30万〜100万円。
配分の基本は次のとおりです。

  • 見学会広告:50%
  • リスティング広告:25%
  • 興味関心(認知)広告:25%

見学会広告は小規模と同様に「思わず来たくなる企画」が最重要です。
リスティング広告は、検索キーワードの精度が成果を左右します。
「地域×注文住宅」「家づくり 相談会」など、意図を明確にした設計が必要です。

また、興味関心広告では、自社の家づくりの物語を伝えることを意識しましょう。
ターゲットを具体的に定め、「どんな暮らしを提案する会社なのか」が一瞬で伝わる構成が理想です。

【大規模(年間棟数80棟以上)】

大規模の工務店様では、トリプルメディア戦略が不可欠です。

  • オウンドメディア:自社サイト・LP
  • ペイドメディア:各種広告媒体(リスティング、ディスプレイなど)
  • アーンドメディア:SNSや口コミ

この3つを一貫したトーンで展開し、「勝ちパターンの世界観」を統一させてください。

広告費は規模に応じて柔軟に設定できますが、基本配分は中規模と同じく見学会:50%、リスティング+興味関心:50%が目安です。

さらに下記媒体を追加すると効果が高まります。

  • YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)
  • LINEディスプレイ広告
  • YouTubeショート広告

これらはInstagram広告と同様に、見学会告知や認知拡大に効果的です。

分譲住宅

分譲住宅の場合は、「立地(場所)」を前面に打ち出した広告訴求が効果的です。
具体的な例としては、次のような表現が挙げられます。

  • 「浜松市中央区」
  • 「〇〇小学校 徒歩10分」
  • 「〇〇駅 車で5分」

このような広告コピーは、住宅系のチラシやWeb広告でもよく見かけるのではないでしょうか。

1つ目のような地名をストレートに打ち出すタイプは、地域そのものにブランド力がある場合に特に有効です。
2つ目・3つ目のような学校や駅などの距離を示すタイプは、生活利便性の高さを端的に伝えることができます。

分譲住宅を検討している層の多くは、まだ土地を所有していない段階の方です。
そのため、顕在層・潜在層の両方が混在しています。
この段階では住宅会社そのものに関心が薄い場合もありますが、「立地の魅力」だけで心を動かすことができる点が大きな特徴です。
つまり、「エリア訴求」こそが分譲住宅広告の最大の武器なのです。

リノベーション

リノベーション分野では、明確に異なる2つの顧客層が存在します。
そのため、訴求方法も分けて考える必要があります。

  1. 年齢層が高い層
     → 子育てがひと段落し、ライフスタイルの変化に合わせて自宅や実家をリノベーションしたい層。
  2. 新築代わりの層
     → 中古物件を購入し、リノベーションして理想の住まいを実現したい若年層。

この2つの層では、ニーズも購買心理も大きく異なります。
それぞれの戦略と予算配分の目安を解説します。

【年齢層が高い層を狙う場合】

この層へのアプローチは、リスティング広告中心の運用が最も効果的です。
「地域名+リノベーション」「戸建て リフォーム」など、具体的な検索キーワードで探している顕在層を狙いましょう。

予算の目安は次の通りです。

  • 10万円の場合:リスティング広告に全額投入
  • 20万円以上の場合:リスティング広告10万円+イベント・ディスプレイ広告10万円

まずはリスティング広告で自社の存在を知ってもらい、余裕があれば見学会やイベントをディスプレイ広告で補完する流れが理想です。

【新築代わりの層を狙う場合】

若年層を中心とした「中古リノベ」志向の層に対しては、
InstagramやYouTubeを活用したイベント訴求広告とリスティング広告の組み合わせが有効です。

予算配分の目安は以下の通りです。

  • 10万円の場合:リスティング広告5万円+イベント広告5万円
  • 20万円以上の場合:リスティング広告10万円+イベント広告・興味関心広告10万円

この層は情報収集段階からSNS利用率が高いため、SNSでの興味喚起 → Webサイトでの比較検討 → イベント来場という流れを設計するとスムーズです。
単発のイベント集客だけに依存すると先細りになるため、ブランド認知を高める広告運用を並行して行いましょう。

リフォーム

リフォーム領域は、リスティング広告との相性が非常に高い分野です。
同時に、SEO(検索エンジン最適化)との掛け合わせでも安定した集客効果が見込めます。

特に、以下のようなキーワード設計がおすすめです。

  • 「地域名 × リフォーム」
  • 「地域名 × リフォーム × 水回り」

地域密着型の業態であればあるほど、このような検索意図に合わせた配信が成果に直結します。

【予算10万円の場合】

まずはリスティング広告に集中投下します。
キーワード別の配分は以下が目安です。

  • 地域 × リフォーム:5万円
  • 地域 × リフォーム × 場所(キッチン・トイレなど):5万円

費用対効果を高めるには、クリック単価をできるだけ低く抑えつつ、意図に合ったキーワードで配信することが重要です。

【予算20万〜30万円の場合】

この規模の予算では、リスティング広告+ディスプレイ広告の併用が最適です。
特に以下の2種類を組み合わせると効果的です。

  • YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)でのリマーケティング
  • YouTube広告

リマーケティングとは、自社サイトを訪問したユーザーに再度広告を表示し、再訪や問い合わせを促す手法のことです。

配分の目安は以下の通りです。

  • 地域 × リフォーム:8万〜12万円
  • 地域 × リフォーム × 場所:8万〜12万円
  • リマーケティング(YDA)&YouTube広告:5万円

この構成であれば、顕在層の刈り取りと潜在層の再アプローチを同時に実現できます。
また、YouTube広告をうまく活用することで、ブランドイメージの強化にもつながります。

その他運用の補足

広告運用が安定し、成果が出始めた段階では、次のステップとしてMA(マーケティングオートメーションツール)の導入やYouTube動画活用を検討するのがおすすめです。
ここでは、それぞれのメリットと活用のポイントを解説します。

MA(マーケティングオートメーションツール)の導入

Instagramのアカウントが順調に育ち、広告運用もうまく回り始めている企業様は、すでに集客フェーズとしては成功段階に入っています。
次の課題は、獲得した見込み顧客をどのように育て、成約へとつなげていくかという点です。

その鍵を握るのが、マーケティングオートメーション(MA)ツールです。
MAを導入する最大のメリットは、「ナーチャリング(顧客育成)」が可能になることです。

住宅業界は検討期間が非常に長い業種であり、数年前に資料請求をしたまま検討を続けているお客様も少なくありません。
MAツールを導入して顧客リストをデータベース化することで、これまで“眠っていた”顧客を可視化できるようになります。

さらに、MAツールはWeb上での行動データを蓄積できます。
たとえば、

  • どのページに長く滞在しているか
  • どんなコラムを読んでいるか
  • メルマガのどの部分に反応しているか

といった情報をもとに、お客様の関心領域や検討度合いを把握することが可能です。

こうした行動履歴を分析し、適切なタイミングでメール配信やフォローを行うことで、来場時や電話対応でのアプローチ精度が飛躍的に向上します。
結果として、成約率の向上につながる“育てる集客”が実現できるのです。

実は相性が良い!YouTube動画にチャレンジ

近年では、YouTubeに取り組む工務店様も確実に増えています。
「YouTubeから直接集客をしたい」と考える方も多いと思いますが、実はそれ以上にSEO(検索エンジン最適化)との相性が非常に良い点が注目されています。

たとえば、自社サイト内の「お客様の声」や「施工事例」「コラム」にYouTube動画を埋め込むことで、
ページの滞在時間が大幅に伸び、結果的に検索エンジンの評価が上がるという効果が得られます。

実際、「YouTubeを始めたら検索順位が上がり、問い合わせが増えた」という事例も、2025年現在では多く見られるようになりました。

特に性能系住宅や高断熱住宅など、“技術や品質”を強みとする工務店様とは相性が抜群です。
自社の家づくりに対するこだわりや性能面を“動画で直接語りかける”ことで、ファン層の醸成にもつながります。

広告作りのポイント

ここまで広告運用の流れを解説してきましたが、実際に広告を作成する際のポイントも押さえておく必要があります。
どの広告媒体を使う場合でも共通して重要なのが、次の3つの視点です。
繰り返しになりますが、広告は「なんとなく作る」では成果が出ません。ターゲットや訴求内容の精度を厳密に追求することが求められます。

1. ターゲットを明確にする

広告制作の第一歩は、ターゲットの明確化です。
「どんなお客様に」「どんな強みで」選ばれているのかを理解せずに広告を出しても、効果的な訴求はできません。

自社が実際に施主様から評価されているポイントを把握したうえで、ターゲット像を具体化するのが理想です。
そのためには、過去の顧客を対象にしたアンケート調査やヒアリングが効果的です。

また、普段から顧客情報を蓄積し、データとして整理しておくことで、ターゲット層の変化にも柔軟に対応できるようになります。
マーケティングの現場では「広告制作よりもターゲット設計が9割」と言われるほど、この工程が成果を左右します。

2. 写真とキャッチコピーのイメージのズレをなくす

広告制作では、ビジュアルとキャッチコピーの方向性を完全に一致させることが大切です。
写真が与える印象とコピーの内容がズレていると、ユーザーに違和感を与え、クリック率が著しく下がります。

たとえば、「デザイン性の高い家づくり」をアピールしたい広告で、
キャッチコピーが“おしゃれな住まいづくり”を打ち出しているにもかかわらず、
掲載している写真が「子ども向けイベント風」だったらどうでしょう?

おそらくユーザーは「なんか違うな」と感じ、クリックしないはずです。
仮にクリックしても、「この工務店は自分の理想と違う」と判断され、問い合わせにはつながりません。

このように、広告の中に生まれる小さな違和感が、成果を大きく左右します。
「なんとなく同じ雰囲気」ではなく、「完全に一致したイメージ」を目指してください。

そして、この「一貫性」を保つためにも、最初に設定したターゲット像が重要です。
ターゲットが曖昧なままだと、広告表現も曖昧になります。
逆に、明確なターゲット像があれば、写真・コピーともに刺さる広告を作ることができます。

自社の“支持されている強み”を、ターゲットの心に届く言葉で表現すること。
それがクリック率と反響率を高める最大のポイントです。

3. ホームページ・Instagramとの統一感を持たせる

広告単体で成果を出そうとしても、Web全体の「世界観の統一」ができていなければ意味がありません。
特に工務店の場合、Instagram → ホームページという導線が主流になっているため、
両者のデザインや雰囲気がずれていると、ユーザーが離脱してしまいます。

想像してみてください。
Instagramで北欧テイストの写真を見て気になってホームページを開いたのに、
サイトのデザインが和風だったら、おそらく「違うな」と感じてすぐに離脱するでしょう。
そして、そのユーザーが再び訪問することはほぼありません。

この問題の背景には、Instagram運用とWebサイト制作が別業者で行われているケースが多いことがあります。
インスタ運用は、

  • 自社運用
  • 外部代行会社への委託
  • コンサルタントによる支援

のいずれかが一般的で、Web制作会社と連携が取れていない場合がほとんどです。

したがって、「SNSとWebの世界観を統一させる意識」を常に持ち、
担当者や制作会社の間で明確なビジュアルガイドラインを共有しておくことが重要です。

広告・ホームページ・Instagramが一体となってユーザー体験を形成できているか。
この点を意識できている工務店ほど、広告効果は安定して高い傾向にあります。

工務店のリスティング広告なら ArchRise

工務店様向けのリスティング広告運用を効果的に進めるには、単に「広告を出す」だけではなく、業界特有のキーワード設計・ランディングページとの整合性・地域・競合を踏まえたエリア戦略など、複数の専門的な視点が必要です。ArchRiseでは、住宅建築・工務店業界への豊富な支援実績をもとに、以下のようなサポートを提供しています。

「今すぐ客」だけでなく「これから家づくりを検討する層」への長期的な育成も視野に入れ、リスティング広告を中心にした戦略的なWeb集客体制を構築できます。工務店様の広告運用で「予算だけを浪費して成果が見えない」とお悩みの場合は、ぜひ一度 ArchRise にご相談ください。

まとめ

本記事では、工務店・注文住宅・リフォーム会社様におけるリスティング広告の基礎から、費用の目安、運用のポイント、広告を始める前に注意すべき点までを一貫して解説しました。
リスティング広告は、「適切なターゲット」「精度の高いキーワード」「広告文とLPの整合性」が揃って初めて、費用対効果を発揮します。もし、本稿をご覧になって「うまくいっていない」「何から手をつけていいか分からない」と感じられたら、まずは現状のキーワード・広告文・LPをもう一度見直してみましょう。
そして、信頼できる専門パートナーとともに、改めて「戦略設計 → 運用 → 改善」のサイクルを描き直すことをお勧めします。

目次